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再度の時効取得完成で抵当権は消滅
最高裁、抵当権設定は不動産譲渡の場合と比肩する

・ 最高裁、時効取得後に抵当権設定登記がされた場合、再度の取得時効完成で抵当権は消滅と判示。
・ 抵当権の設定は不動産が第三者に譲渡され、その旨の登記がされた場合に比肩すると指摘。

 本事案における被上告人Yは、昭和45年3月、Aから土地の売却を受けたが、所有権移転登記をしないまま占有を開始した。Aの子であるBは、昭和57年1月、Yが占有する土地について相続を原因に所有権移転登記をした。Bは昭和59年4月、この土地について上告人Xのために抵当権を設定し、抵当権設定登記を了した。
 なお、Yは抵当権設定などの事実をしらないまま、その土地の占有を継続した(Yは抵当権の設定登記時、土地を所有すると信じることについて善意かつ無過失)。
 最高裁は、不動産の取得時効完成後、所有権移転登記されないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記をした場合について、次のように判示し、再度の取得時効の完成で抵当権は消滅するとした。

 不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、占有者が抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、占有者は、不動産を時効取得し、その結果、抵当権は消滅する。

 また、最高裁は、上記判示の理由として、以下の3点を挙げている。
@ 取得時効完成後に抵当権設定登記を了したら、占有者がその後にいかに長期間占有を継続しても抵当権の負担のない所有権を取得することができないとすることは、長期間にわたる継続的な占有を占有の態様に応じて保護すべきものとする時効制度の趣旨に鑑みれば、是認し難い。
A 抵当権設定登記がされた時から占有者と抵当権者との間に権利の対立関係が生ずる事態は、不動産が第三者に譲渡され、その旨の登記がされた場合に比肩する。
B 取得時効完成後に所有権を得た第三者は、占有者が引き続き占有を継続した場合に所有権を失うことがあり、それと比べて、取得時効の完成後に抵当権の設定を受けた第三者がその場合に保護されることとなるのは不均衡である。

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週刊「T&A master」445号(2012.4.2今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2012.6.18 ビジネスメールUP! 1696号より )

 

 
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