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青色申告の承認取消処分は適法も「不当」を理由に原処分を全部取消し
審判所、帳簿書類の不備が軽微であると判断

 国税不服審判所は平成22年12月1日、請求人の帳簿の不備が青色申告の承認取消事由に該当することから、原処分庁がした取消処分は違法ではないと判断する一方、その不備の程度は甚だ軽微なものと認められるため、その取消処分は不当であると判断、取消処分を取り消した。
 取消訴訟では違法な場合にのみ処分が取り消されるところ、審査請求では行政不服審査法1条の規定により、処分が違法な場合だけでなく、不当な場合も裁決で取り消すことができる。平成23年7月8日に公表された本事例は、国税不服審判所が公表している裁決事例のなかで、不当を理由として処分が取り消された初めての事例である。

帳簿の不備が取消事由に該当、適法と判断
 本事例では、青色申告の承認取消処分を行った原処分庁に対し、請求人は、一切の取引を伝票に記帳し、収入集計表等も常時備えていたことから、青色申告の承認取消事由に当たる事実はないと主張していた。
 審判所は、青色申告の承認取消処分を行うか否かについて、業種態様や事業規模に応じた帳簿書類の備付けの状況等の個々の事情をも総合的に勘案し、真に青色申告を維持するにふさわしくない場合に、取消処分を行うべきであるとの判断を示した。
 そのうえで、請求人の伝票のつづりは単に取引の発生順に取引事実を記載したもので、勘定科目ごとに整理、集計されていないこと、所定の方法により現金出納、収入、費用に関する事項に分けられていないことから、組織的に整理集合されているとは認められないと指摘。請求人の帳簿書類の備付け、記録および保存は財務省令に従って行われておらず、青色申告の承認取消事由(所法150@一)に該当するため、取消処分は違法とはいえないとした。

取消処分を適法としたうえ、不当性を検討
 前述のとおり、審判所は取消処分を適法としたが、取消処分の不当性についても具体的に検討。審判所は、請求人の記帳状況について、所得税法施行規則56条1項ただし書に規定する簡易な記録の方法等によって記帳を行おうとしていることを指摘。伝票を収入、経費、現金出納等の区分ごとに整理、集計し、残高等の記載を追記するなど、整然とかつ明りょうに整理していれば財務省令で定める要件を充足したといえることに照らすと、帳簿書類の備付けおよび記録の不備の程度は、甚だ軽微なものであると判断した。また、伝票等を集計・計算した所得金額は十分正確性が担保されており、真に青色申告を維持するにふさわしくない場合とまで認められないため、青色申告の承認取消処分は不当であり、取り消すべきと結論付けた。

 

 

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週刊「T&A master」411号(2011.7.18「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.9.12 ビジネスメールUP! 1588号より )

 

 
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