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理事長・校長の地位にあった者に支給した金員を退職所得と判断
京都地裁、原告による納税告知処分等取消請求を認容

 京都地裁第3民事部(瀧華聡之裁判長)は4月14日、専修学校を設置する学校法人である原告が、その理事長および設置校の1つの校長の地位にあった者に対して支給した金員が退職所得に該当するかが争われた事案で、当該金員は退職所得の要件を満たすと判断。原告による納税告知処分等取消請求を認容する判決を言い渡した(平成20年(行ウ)第23号)。

税務署は退職の事実を認めず
 原告は、専修学校を設置する学校法人であり、その理事長および設置校の1つの校長の地位にあったAが、平成15年12月末日付で、校長および学院長の地位を辞したとして、退職金3億2,000万円(以下「本件金員」という)を支給し、本件金員が退職所得であることを前提とした源泉所得税を納付した。
 これに対して、税務署は、Aが原告を退職した事実は認められず、本件金員は賞与である給与所得に当たるとして、源泉所得税の納税告知処分等を行った。

「これらの性質を有する給与」に該当するか
 瀧華裁判長は、本件では、Aが平成15年12月末日の前後を通じて原告の理事長職に就いており、形式的には原告を退職したといえないことから、本件金員が、所法30条1項の「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものとして、「これらの性質を有する給与」に当たるかを検討している。
 具体的には、本件金員が、実質的にみて「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるというための要件、(1)退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること、(2)従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払いの性質を有すること、(3)一時金として支払われることの要求に適合するか否かが検討されている。

勤務関係に重大な変動があった
 上記のうち(1)の「退職と同視できる事情の有無」について、瀧華裁判長は、平成15年12月末日の前後におけるAの勤務関係は、@その職務が象徴的な業務や各国からの来賓や在日大使の接待、関係者との懇談会を行うことなどとなり、同日前の職務とは、その内容を大きく異にしていること、A給与についても、対価として月額70万円の給与が支払われていたものの、従前の月給160万円と比較すれば約56%の減額となることなどから、その性質、内容、労働条件等において重大な変動があったと判断。退職と同視し得る特別の事実関係があったというべきであるとした。

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  キーワード 「理事長」⇒144

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週刊「T&A master」405号(2011.6.6「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.7.15 ビジネスメールUP! 1567号より )

 

 
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