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役員退職給与に係る勤続年数で原処分庁の主張退ける
審判所、「請求人の経営に従事していたものと推認される」

 国税不服審判所は、審査請求人(同族会社)が損金算入した役員退職給与に過大部分があるか否かが争われた事案で、功績倍率方式の「勤続年数」について、役員退職給与の支給を受けた当該役員は使用人時代(請求人が有限会社時代)も請求人の経営に従事しており「みなし役員」に該当すると判断。登記により外形的に確認できる期間を勤続年数とする原処分庁の主張を退けた(金裁(法)平21第8号)。

実質的に経営上主要な地位を占めていた
  同族会社の「みなし役員」判定については、法令7条2号、同71条1項5号に規定されている。本事案では、役員退職給与の功績倍率方式での算定要素である「勤続年数」について争われているが、審判所は、下記@〜Bを総合勘案すれば、当該役員は取締役就任以前の使用人時代において、株式会社の取締役と同様に請求人の経営に従事していたものと推認されるとした。
@ 請求人の代表取締役Aによる、当該役員(代表取締役の妻)が従業員の採用、資金繰りの決定、従業員賞与の査定など重要な意思決定に参加し、設立時から夫婦2人で請求人の経営にあたってきた旨の答述と、当該役員による、従業員の労務管理、監督官庁等の折衝、官工事等の指名願い、取引先との交渉等のほか、代表者に代わっての対外折衝、事務所および工場の移転や組織変更など請求人の重要事項の決定に大きく関与していた旨の具体的かつ詳細な陳述書の記載内容が主要な部分で合致すること。
A 請求人設立時からの従業員の答述も、請求人が大きく繁栄したのは代表取締役Aと当該役員の2人の尽力が多大であったとするものであり、その内容は代表取締役Aの答述および当該役員の陳述書の内容に沿うものであって、これらがいずれも信用できること。
B 請求人の有限会社時代には登記上の役員のうち常勤役員が代表取締役Aだけであったことから、その間、当該役員は代表者を補佐し、実質的に請求人の経営上主要な地位を占めていたことが十分推認できること。

持株割合基準も充たしている
  また、審判所は、持株割合基準について、有限会社時代の代表取締役Aと当該役員夫婦の請求人に対する持株割合が64%であり、他に当該割合の変動を示す資料もなく、有限会社時代、請求人における両人合計の持株割合が50%以下となることはなかったものと推認され、基準を充たしていると認定。当該役員は、有限会社時代において、「みなし役員」に該当するとみるのが相当としている。

 

 

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コラム

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週刊「T&A master」373号(2010.10.11「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2010.11.17 ビジネスメールUP! 1475号より )

 

 
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