グループ法人単体課税制度、再譲渡時に譲渡損益実現
100%グループ内取引の一元的管理が必須に
平成22年度税制改正で導入される「グループ法人単体課税制度」では、100%グループにおける一定資産の譲渡損益が繰延べられることになるが、グループ内で再譲渡が行われた場合の取扱いについてはこれまで明らかとなっていない。
この点、本誌の取材によると、譲渡損益が繰延べられるのは最初の譲渡のみで、当該譲渡損益が繰延べられた資産が100%グループ内で再譲渡された場合には、最初の譲渡の際に譲渡損益が繰延べられた法人において、譲渡損益が実現する。
今後は、100%グループ内取引の一元的管理が必須となりそうだ。
自社が関わらない取引もウォッチする必要
平成22年度税制改正で導入される「グループ法人単体課税制度」では、連結納税制度を採用していない100%グループにおいても、連結納税制度同様、固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産(売買目的有価証券、簿価1,000万円未満の資産、棚卸資産を除く)の譲渡を行った場合に、譲渡損益が繰延べられることになる。
ただ、100%グループ内で譲渡された資産が、さらにグループ内の他社に再譲渡された場合の取扱いについては、平成22年度税制改正大綱等においても明らかとなっていない。
この点について本誌が取材を行ったところ、グループ法人単体課税制度においては、連結納税制度と同様、資産の譲渡損益が繰延べられるのは初回の譲渡のみであり、100%グループ内で再譲渡が行われた場合には、初回の譲渡において繰延べられた譲渡損益が実現することが確認されている。
たとえば、A社が保有する簿価50の固定資産が100%グループ内のB社に時価の100で譲渡され、その後、さらにB社から同じ100%グループ内のC社へと譲渡されたとしよう。この場合、A社からB社への譲渡(初回の譲渡)の際に発生した譲渡益50は繰延べられることになるが、B社からC社への譲渡(再譲渡)が行われた際には、初回の譲渡において繰延べられた譲渡益50は「A社」において実現することになる。
仮にA社が、B社とC社間の取引を把握しておらず、譲渡益50を実現させなかった場合、税務調査等において追徴課税の対象とされるおそれがある。同様のことは、資産がさらにC社から100%グループ内の他社に譲渡された場合にも起こりうることになる。
こうした事態を避けるには、100%グループ内の各社は、自社が関わっていないグループ内の取引についても把握しておく必要がある。そのためには、100%グループ内取引の一元的管理が必須といえよう。
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(週刊「T&A master」340号(2010.2.1「今週のニュース」より転載)
(分類:税制改正 2010.3.31 ビジネスメールUP!
1385号より
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