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未公開 裁決事例紹介

卒業式で供した昼食等の費用は交際費等に該当せず
原処分庁による法人税の更正処分等を全部取消し

○料理教室業等を営む審査請求人が、卒業式において供した昼食等に係る費用について、審判所が当該昼食費用等は交際費等に該当しないとして、原処分庁の行った更正処分等の全部を取り消した事例(東裁(法)平19第171号)

基礎事実
 請求人は、本科コースのうち免許状コースに属する各コースの全授業課程を終了した受講生に免許状を授与するに際し、夏期および冬期の年2回、東日本エリア、中部エリア、関西エリア、西日本エリアの全国の各ホテルを会場として、卒業式を行っている(以下、各地で行われる卒業式を「本件各卒業式」という)。免許状を授与されたものは、講師の資格を取得し、また、講師セミナー等、その他の講座を受講することができる。
 本件各卒業式に出席できるのは、請求人に対して、免許取得申込書を提出し、免許料を支払った者(以下「本件卒業生」という)で、かつ卒業式への出席を希望した者。
 請求人は、本件各卒業式において、会場であるホテル側の料理長等によるメニュー紹介に続き、乾杯および歓談等の時間帯において、出席者に対し昼食(乾杯用シャンパンを含む)を供与している。中部エリアなど5会場の卒業式進行予定表または式次第によれば、昼食が供与される時間帯について「卒業祝賀パーティー」と記載されている。
 請求人は、本件事業年度において、本件各卒業式の会場である各ホテルに支払った金額のうち、本件各卒業式を行うために要した費用の合計額18,108,111円(以下「本件各卒業式費用」という)を広告宣伝費に計上し、損金の額に算入した。
 原処分庁は、本件各卒業式費用のうち、出席者に対する昼食等の供与に要した費用の合計額15,140,779円(以下「本件各昼食費用等」という)を措置法61条の4第3項に規定する交際費等に該当するとして、本件更正処分を行った。

争  点
 本件各昼食費用等が、措置法61条の4第3項に規定する交際費等に該当するか否か。

主  張
 原処分庁が行った更正処分に対して請求人は、本件各昼食費用等は、社会通念上通常要する程度の費用の支出に該当するということができ、税務上の交際費等には該当しないと主張した。
 なお、原処分庁、請求人双方の主張(要旨)は次頁のとおり。

 

審判所の判断
(1)支出の相手方
 本件卒業生は、講師の資格を取得し、また、講師セミナー等の各講座を受講する資格を取得することなどができるから、今後、請求人と一定の取引関係を有する可能性のある者であり、本件各卒業式への出席者は、請求人の事業関係者等に該当するものと認められる。
(2)支出の目的
 本件各卒業式は、@所定の授業課程を修了した者が今後受講生を指導する立場になることについての区切りの行事として、免許状授与式を中心に行われていること、A規模の拡大等に伴いホテルを会場としていること、B本件各卒業式が長時間に及ぶため昼食時間帯をまたがって行われること、C供与される食事は、社会通念上供与されると認められる通常の昼食の範囲内にあり、酒類は儀礼的な乾杯のためにのみ供与されていること等の事情を総合的に判断すると、本件卒業式の中間に昼食等を供与する行為は、卒業式の式次第を構成する一要素にすぎないというべきである。したがって、本件各卒業式において昼食等を供与する目的は、事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑化を図ることになるとは認められない。
(3)行為の形態
 本件各卒業式において昼食および乾杯のための酒類を供与する行為は、上記(ロ)のとおり、直ちに出席者の快楽追求欲を満足させる接待等に該当するものとまではいうことはできない。
 以上のとおり、本件各昼食費用等は、@支出の相手方が事業関係者等とは認められるものの、A支出の目的が、事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るためであるということはできず、B支出の原因となる行為の形態が、接待等であるとは認められない。

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タイトル
登録日
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コラム 大橋全法連会長、公益法人制度改革と会員数の歯止めが当面の課題

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資料 平成17(行ウ)102 納税告知処分等取消請求事件 大阪地方裁判所 第2民事部

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解説記事 国外財産を贈与した場合における受贈者の「住所」の認定−武富士事件−

2007年 10月 01日

コラム 日税連新会長に池田隼啓氏(近畿税理士会)が就任 2007年 08月 06日
(以上、最新順)  

週刊「T&A master」280号(2008.10.27「未公開 裁決事例紹介」より転載)

(分類:税務 2008.12.17 ビジネスメールUP! 1208号より )

 

 
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