4社が退任監査人を開示も監査人側の意見は特段なし
編集部調査、143社が臨時報告書で選任監査人を開示
平成20年4月1日から9月5日までに143社が監査人異動による臨時報告書を提出していることが編集部の調べで明らかとなった。
経過措置により、現在は株主総会で選任された監査人のみを開示すればよいが、これまで4社が選任した監査人および退任する監査人の開示を行っている。ただし、退任した監査人側の意見については「特段の意見はない」などとしている。
経過措置で選任監査人のみの開示でOK
平成20年3月28日に公布・改正された企業内容等の開示に関する内閣府令により、監査人が異動した場合には、臨時報告書において、異動した理由や異動した公認会計士等の意見を開示することになった。
この点は、平成18年12月の金融審議会公認会計士制度部会報告の提言で盛り込まれていたものである。特に監査人の交代に関しては、オピニオン・ショッピングが疑われるような事例などが見受けられるなど、以前から問題視されており、監査人と企業との間で意見の不一致が原因で企業側が監査契約を解除あるいは監査人自らが辞任するようなケースは、その理由や経緯を開示すべきとの指摘が行われていたものだ。
臨時報告書での開示は平成20年4月1日から施行されている。ただし、経過措置が設けられており、現時点では、たとえば、3月期決算法人の場合、平成20年6月株主総会で選任された監査人を開示すればよいことになっている。なお、退任監査人については、来年の平成21年6月株主総会で不再任になった場合から開示となる(企業内容等の開示に関する内閣府令附則2条1項)。
監査人側の意見は今のところなし
本誌編集部が調査したところでは、平成20年4月1日から9月5日までに臨時報告書を提出した企業は143社。このうち、4社(ビジネス・ワンホールディングス、カーチス、ゼクス、北沢産業)が退任した監査人についても開示している。
退任する監査人については、監査人の名称などのほか、異動の決定または異動に至った理由および経緯、異動の理由および経緯に対する監査報告書等の記載事項に係る異動監査人の意見を開示することが求められている。監査人側と企業側の両者の言い分が開示される点に新しい制度の特徴があるわけだ。
ただし、前述した4社については、企業側の理由は開示されているが、監査人側の意見は「特段の意見はなし」などとされている。
なお、臨時報告書よりも先に、証券取引所の適時開示では、すでに退任する監査人についても開示が行われているが、これまで監査人側の意見を記載した会社はない。
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キーワード 「監査人 臨時報告書」⇒15件
(週刊「T&A master」274号(2008.9.15「今週のニュース」より転載)
(分類:会計 2008.10.31 ビジネスメールUP!
1190号より
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