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海外ウェブサイトへの広告掲載、消費税の課税範囲は取扱手数料
審判所、課税対象取引に該当しないとする更正処分等を全部取消し

 海外に所在するウェブサイトの運営会社に支払うインターネット広告掲載料に係る消費税について、国税不服審判所は、請求人の事業を広告代理業と認定し、消費税等の課税範囲は請求人の役務提供の対価となる取扱手数料になると判断した。原処分庁は、当該取引が国内取引以外の取引であり広告掲載料は仕入税額控除の対象にならないと主張したが、事業内容に係る消費税等の課税範囲の判断により、退けられた(東裁(諸)平19第104号)。

請求人の事業および消費税額の計算
 請求人は、インターネット等のウェブサイト上の広告サイトに広告主から、広告掲載料を受領し、広告媒体である広告サイトの国外の運営会社(以下、媒体企業)へ当該広告掲載料から、請求人が受領する取扱手数料相当額を控除した金額(以下、支払掲載料)を支払っている。
 請求人は、広告主に対する広告掲載料について、媒体企業から請求された広告掲載料と当該広告掲載料に対する5%の消費税相当額との合計金額を広告主に対して請求。また、広告主に対する請求金額のうち、広告掲載料の金額を売上高、広告掲載料に係る消費税等相当額を仮受消費税の額として会計処理し、消費税等の確定申告において当該広告掲載料に係る売上高の金額を課税標準に含めて消費税等の額を計算している。媒体企業からの支払掲載料の請求については、請求金額の総額から消費税等相当額を控除した金額を外注費の額、消費税等相当額を仮払消費税の額として会計処理し、消費税等の確定申告において掲載料に係る仮払消費税の額を課税仕入れに係る控除税額に含めて消費税等の額を計算している。

 

請負業、広告代理業に該当と主張
 原処分庁は、請求人が媒体企業に掲載料を支払った取引は、課税対象取引に該当しないなどとして、課税仕入れの額を減少させる更正処分等を行い、次の理由からその処分が適法であると主張した。
 @請求人と外国法人との間の取引および請求人と広告主との間の取引は、それぞれ独立した個別の契約に基づき行われているものであり、A請求人と外国法人との間の取引は、国内取引以外の取引と認められることから、広告掲載料は仕入税額控除の対象とならない。
 原処分庁の主張を具体的にみると、まず請求人の事業内容は、広告主との間では、広告主の依頼によりインターネット広告の企画・制作および広告媒体への掲載作業を請け負う請負業に該当し、媒体企業との間では、広告主から依頼を受け、媒体企業と交渉・調整を行い、媒体企業と契約し、当該広告媒体に広告を掲載させるいわゆる広告代理業で、「準問屋(商法558条)」に該当すると主張した。また、請求人が外国法人に支払う支払掲載料は、請求人が外国法人から受ける役務の提供の対価と認められ、その広告宣伝はインターネット上で行われており、役務の提供地を特定することは困難。当該役務の提供地は、消令6条2項7号の規定により外国法人が行う役務提供に係る事務所等の所在地となり、消費税法上、国内取引以外の取引と認められることから、支払掲載料は仕入税額控除の対象となる課税仕入れの額に該当しないとした。

請求人は一般的な広告代理業と認定
 審判所は、請求人が外国法人のみならず国内の複数のインターネット広告媒体の広告サイトへの広告掲載を取り扱い、広告主のために国内外の媒体企業に対して、広告に適した広告サイトと広告方法を提案し、広告主のために媒体企業に対して広告掲載と委託する事業を行っていることから、請求人が行う広告掲載に係る業務は、一般的な広告代理業であると判断。そのうえで、広告代理店は、委託販売における受託者と同様に商法の準問屋としての性格があることから、請求人の消費税等の課税範囲は、委託販売の受託者と同様、消基通10−1−12(委託販売等に係る手数料)の適用があると解するのが相当であり、請求人の当該広告掲載に係る一連の取引には、国内取引以外の取引が含まれていることから、取扱手数料を役務提供の対価とする原則的な計算方法(10−1−12(2)本文)が適用されると判断。広告掲載に係る一連の取引に係る消費税等の課税範囲は、取次手数料が請求人の行う役務提供に係る対価の額であるとし、原処分庁による広告宣伝に係る役務提供は国内取引以外の取引で、仕入れ税額控除の対象となる課税仕入れの額に該当しないとする主張は前提を欠くとした。
 なお、審判所が採用した会計処理および消費税等の額の計算方法は次のとおり。

 

広告主に対する過大請求を指摘
 審判所は最後に、請求人は当該広告掲載に関する一連の取引に係る納付すべき消費税額等の額は結果的に正しく申告されているものの、国内取引以外の取引に係る広告掲載料部分について広告主に対して消費税等相当額を過大に請求していることとなるから、今後、この点については是正される必要があるものと思料されるとしている。

 

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(以上、最新順)

週刊「T&A master」266号(2008.7.14「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2008.8.29 ビジネスメールUP! 1165号より )

 

 
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