出向先法人の期中に給与負担金額変動も定期同額給与に該当の可能性
契約内容と実際の支出額が異なる場合の定期同額給与の判定
出向先法人が支出する出向役員の給与負担金については、出向先法人の株主総会、社員総会等で決議されており、出向契約等において出向期間および給与負担金の額があらかじめ定められている場合、定期同額給与に該当することとなる。
この出向に係る定期同額給与の判定において、出向先法人の期中に兄弟会社の業務兼務の終了により給与負担金額が変動した場合も、定期同額給与に該当する可能性があることがわかった
出向役員の業務兼務で給与負担金を分担するケース
出向先法人の期中に給与負担金額が変動するケースとして、当局では以下のような想定で検討を行っている。
●A社の役員Xは親会社からの出向者。
●出向契約による給与負担金は月額50万円(法基通9−2−46により法法34条の規定が適用されるもので、不相当に高額な部分はない)。
●役員XはA社の役員就任後4か月間A社の兄弟会社であるB社の業務の一部を兼務。
●A社およびB社間での口頭契約により、役員Xの兼務期間中に親会社に対する給与負担金として、A社が月額35万円、B社が月額15万円をそれぞれ親会社に支出(負担割合は相当)。
●B社と親会社間に出向契約はないが、親会社は黙認していた。
●A社は、役員Xの兼務期間終了後は月額50万円を親会社に支出。
●A社は、役員Xの給与負担金として当初4か月間35万円、それ以降50万円を費用処理。
一概に定期同額給与に該当しないとは言い切れない
上記ケースで問題とされるのは、A社が支出した給与負担金(4か月間35万円、それ以降50万円)が定期同額給与に該当し、損金算入が可能かどうかということ。
この場合の定期同額給与の判定については、@当初4か月間にA社が35万円、B社が15万円を親会社に支出した場合と、AA社が出向契約どおり親会社に対して給与負担金を毎月50万円支出し、兼務期間中はB社がA社に対して15万円を支出していたと考える場合とにおいて、取扱いが異なるのではバランスが取れないとの考え方があるようだ。
したがって、上記の事実関係からすれば、A社が支出した給与負担金額が期中に変動したことについて、税務上、問題視することは難しいと考えられることから、一概に定期同額給与に該当しないと言い切ることはできないこととなろう。
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(週刊「T&A master」257号(2008.5.5「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2008.6.18 ビジネスメールUP!
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