地方法人特別税も法人税の課税所得計算上、損金算入の対象に
平成20年度税制改正 現行の事業税の取扱いを踏襲
都市部と地方との地域間の財政力格差を埋めるため、平成20年度税制改正では、法人事業税の税率を下げる代わりに「地方法人特別税」が創設されるが、この地方法人特別税が、法人税の課税所得の計算上、損金算入の対象になるのかどうかが問題となっている。これは、地方法人特別税は国税であり、「都道府県の行政サービスの対価」である事業税とは性格が異なるようにもみえるからだ。
しかし、本誌取材により、地方法人特別税は事業税同様、損金算入の対象となることが明らかになっている。
地方法人特別税=国税、事業税=地方税
地方法人特別税は、およそ2.6兆円の法人事業税を分離し、これを「人口」および「従業者数」を基準として都道府県に譲与するものである。
そして、地方法人特別税は、都道府県に分配されるという性格上、「国税」に区分されている。そこで問題となるのが、地方法人特別税の法人税上の取扱いだ。
現行制度上、地方税である法人事業税は、法人税の課税所得の計算上、損金算入される。これは、法人事業税は法人が事業活動を行うにあたって受ける都道府県の行政サービスの対価であり、事業活動において必要不可欠な経費であるからだとされる。
こうしたなか、地方法人特別税は、法人税上、損金算入の対象とはならないのではとの指摘も聞かれる。地方法人特別税は、法人事業税から分離されたものとはいえ、地方税である法人事業税に対し、国税であるという大きな違いがある。法人事業税が損金算入される理屈が「都道府県の行政サービスの対価」であるということにあるとすれば、地方法人特別税が法人税の課税所得計算上、損金算入されないとの考え方にも一理あるようにもみえる。
しかし、本誌取材によると、地方法人特別税は法人事業税同様、法人税の課税所得の計算上も損金算入されることが確認されている。損金算入できない租税公課は法人税法38条に限定列挙されている。地方法人特別税創設後も、法人税法38条は現行のままとなろう。
(参考)法人税法38条
2 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第九条の四(受益者等が存しない信託等の特例)又は第六十六条第四項 (公益を目的とする事業を行う法人に対する課税)の規定による贈与税及び相続税
二 地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税を含むものとし、退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く。)
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(週刊「T&A master」241号(2008.1.7「今週のニュース」より転載)
(分類:税制改正 2008.2.20 ビジネスメールUP!
1089号より
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