混迷する20年度税制改正 事業承継税制見送りの可能性も
テロ特措法等巡る政治プロセスが税制改正動向占う試金石に
参議院で与野党が逆転し、さらに安倍首相が辞任するという事態のなか、各省庁は20年度税制改正への対応に頭を悩ませている。
各省庁ともひとまず20年度税制改正要望を取りまとめたものの、要望事項を実現させるためには、自民、民主両党の顔色をうかがう必要が出てきている。こうしたなか、20年度税制改正の目玉とされる事業承継税制改正の実現が危ぶまれている。
各省庁は、テロ特措法など今臨時国会で審議される法案を巡る政治プロセスが20年度税制改正の動向を占う試金石になるとみており、場合によっては、要望事項を絞り込む構えだ。
“お蔵入り”となった要望事項の復活は困難
先の参議院選挙における自民党の大敗により参議院において与野党が逆転する中、誰が首相になっても、20年度税制改正では民主党の意向を無視できない状況になっている。
このため、各省庁は税制改正要望事項を民主党にも説明に行く構えを見せているが、民主党を立てれば自民党の反感を買うリスクがあり、どちらに先に説明に行くかさえ決めかねている状態という。
こうしたなか、各省庁は20年度税制改正で実現を目指す要望事項を絞り込み、「実現が危うい項目」は21年度税制改正以降に先送りすることも視野に入れている模様。一度“お蔵入り”となった要望事項を復活させるのは非常に困難だからだ。
両党が賛成するものは実現しづらい?
「実現が危うい項目」とは、1つは「自民党と民主党の間で意見が対立するもの」であり、もう1つは、「自民党、民主党どちらも積極的に取り組みたいもの」だ。自民党と民主党の間で意見が対立するものについては、双方が譲らなければ実現が困難となるのは当然としても、両党が賛成するものについても実現が危うくなるのは、「相手の案に同意した」格好になり、結果として相手の手柄に加担してしまうことを恐れているからだという。
そして、まさに後者に該当するのが、20年度税制改正の目玉とされる事業承継税制である。自民党、民主党とも選挙戦略上も中小企業対策は重要であり、事業承継税制は反対するどころか、むしろ積極的に進めたいところだからだ。
ただ、現段階ではどのような政治的プロセスで税制改正が実現するのかさえみえていない。このため、関係者はテロ特措法をはじめ、今臨時国会で審議される法案の成立プロセスに注目している。今臨時国会で確立したプロセスが、20年度税制改正においても使われる可能性は高く、改正動向にも大きな影響を与えることになりそうだ。
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キーワード 「事業承継税制」⇒57件
(週刊「T&A master」228号(2007.9.24「今週のニュース」より転載)
(分類:税制改正 2007.11.7 ビジネスメールUP!
1053号より
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