配当支払い時に数千万円の印紙税負担増も
郵政民営化で郵便振替支払通知書が印紙税上の16号文書に該当
配当支払い時において、郵便振替支払通知書を発行している企業は少なくないが、この郵便振替支払通知書が今後は印紙税の課税対象となることが本誌の取材で判明した。
同通知書は、従来は印紙税の課税対象ではなかったが、郵政民営化に伴う郵便振替法の廃止により今後は「16号文書」に該当することになり、株主が数十万人いる大企業などは、印紙税負担が数千万円規模に達す可能性もある。
金額3,000円未満のものを除き、1通につき200円の印紙税
印紙税法上の課税文書である16号文書には、配当金領収証(配当金領収書その他名称のいかんを問わず、配当金の支払いを受ける権利を表彰する証書または配当金の受領の事実を証するための証書)や配当金振込通知書(配当金振込票その他名称のいかんを問わず、配当金が銀行その他の金融機関にある株主の預貯金口座その他の勘定に振込み済みである旨を株主に通知する文書)が該当することになる。16号文書に該当すると、記載された配当金額が3,000円未満のものを除き、1通につき200円の印紙税が課税されることになる。
この16号文書の具体例としては、他の銀行が発行する配当金領収証があるが、これまで非課税文書であった郵便振替支払通知書(郵便振替法5条に印紙税を課税しない旨が明記)も、郵政民営化により郵便振替法が廃止されることにより(「郵政民営化等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」2条2号)、他の銀行が発行する配当金領収証と同様に、16号文書として課税を受けることになる。
記載金額の引上げを求める声も
郵便振替支払通知書が16号文書に該当するようになることで、株主の多い大企業等の印紙税負担は莫大なものになりそうだ。上場企業等のなかには、配当金支払い時に数十万枚の郵便振替支払通知書を発行しているところもある。配当金額や受領株主の保有株式数にもよるが、仮に通知書のすべてが課税文書となった場合には、配当金を支払うたびに数千万円の税負担が生じる可能性がある。ただし、1株当たり3円未満の配当であれば、単元未満株主が受領する配当金領収証は非課税となるため、多少税負担は減ることが想定される。
会社が採り得る対応としては、たとえば、送付物に振込口座の指定用紙を同封する等により、株主に対して銀行振込での受取りを依頼する方法が考えられるが、このような方法が現実的とは言い難い。
企業の間では、印紙税の課税対象となる記載金額の引上げなどの税制改正を求める声も上がっている。
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キーワード 「印紙税」+「負担」⇒46件
(週刊「T&A master」212号(2007.5.28「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2007.7.2 ビジネスメールUP!
1005号より
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