国税庁 法人の減価償却制度の改正に関するQ&Aを公表
修繕費に係る通達改正、総合償却資産の簿価の配布方法など明らかに
国税庁は、法人の減価償却制度の改正に関するQ&AをHPに公表した。
Q&Aでは、新減価償却制度の計算方法や、償却方法の変更手続など、既に法令で明らかにされている内容のみならず、形式基準による修繕費の判定等や、除却価額を取得価額の5%とする取扱いなどの通達改正・廃止に言及しているほか、総合償却資産の帳簿価額を個々の資産に配賦する合理的な方法などの新情報も盛り込まれているので要チェックだ。
形式基準による修繕費の判定等は結果的に従来通り
法人税基本通達7−8−4の(2)では、減価償却資産の改良等に要した費用が固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合には、その費用は資本的支出ではなく「修繕費」として取り扱う(すなわち、全額損金算入可)こととしている。そして、ここでいう「取得価額」とは、減価償却資産に資本的支出が行われた場合には、減価償却資産本体の原始の取得価額と原始の資本的支出額を「合算」した金額とされてきた。
ただ、新減価償却制度下では、19年4月1日以後に取得した本体に対して19年4月1日以後に資本的支出を行い、両者を合算して償却しようとするケースでは、資本的支出等を行った事業年度においては、本体と資本的支出等を別管理し、翌事業年度においてそれぞれの「期首簿価」を合算、「新規に取得した減価償却資産」として、当該事業年度から新減価償却制度を適用することとされる(法令55条C)。
このため、法人税基本通達7−8−4(2)にいう「取得価額」も、上記「期首簿価」の合算額を指すことになるのではないかとの疑問が生じる。仮にそうなると、原始の取得価額と原始の資本的支出を合算する場合よりも「取得価額」は小さくなり、2回目以降の改良で「10%以下」に該当しにくくなってしまうが、Q&Aでは、ここでいう取得価額とは従来通り原始の「取得価額+資本的支出」を指し、その旨を改正通達に盛り込むとしている(Q15)。
また、通達改正関係では、95%の償却可能限度額が廃止されたことに伴い、除却等があった場合の除却価額を取得価額の5%とする法人税基本通達7−7−3の取扱いを廃止することも明らかにしている(Q19)。
このほか、減価償却の改正を機に総合償却をやめ、個々の資産に総合償却資産の帳簿価額を配賦する場合、@耐用年数通達付表7によって個々の資産の未償却残高を計算したうえ、A総合償却資産全体の帳簿価額と個々の資産の未償却残高の合計額との差額を、個々の資産の未償却残高比により按分して配賦する手法を、「簡便な方法として認められる」としている(Q20)。
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キーワード 「新減価償却制度」⇒25件
(週刊「T&A master」210号(2007.5.14「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2007.6.18 ビジネスメールUP!
999号より
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