減価償却制度の見直しで法基通7−7−3が廃止の方向へ
償却可能限度額の廃止で5%除却法の根拠が消滅
平成19年度税制改正の減価償却制度の見直しでは、償却可能限度額(95%)が廃止される。現在、国税庁では改正に伴う関連通達の見直しを進めており、特に「総合償却資産の除却価額」(法基通7−7−3)が廃止される方向となっている。その理由として、償却可能限度額の廃止により5%除却法の根拠が消滅したこと、および実務上多くの企業が5%除却法以外の計算特例を適用していることが挙げられる。
5%除却法の損金算入額に不満も
平成19年度税制改正では、減価償却制度の見直しにより「償却可能限度額」「残存価額」が廃止され、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却することが可能となる。この改正を受けて、現在、国税庁では関連通達の見直し作業を進めている。
そのなかで特に、「総合償却資産の除却価額」(法基通7−7−3)の廃止が検討されている模様だ。同通達の内容は、総合償却資産の一部について除却、廃棄などがあった場合、その除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は、その除却等をした個々の資産の取得価額の5%相当額(5%除却法)によるというもの。
したがって、個々の償却資産のうち償却可能限度額に達していない資産についても、取得価額の5%相当額しか損金算入できないことになる。これを嫌って、同通達を適用する企業は少数に止まっている。
また、19年度税制改正における減価償却制度の見直しにより、「償却可能限度額」が廃止されることから、5%除却法の5%という根拠が消滅することも、同通達が廃止される理由となる。
多数の企業が除却価額の計算特例を適用
総合償却資産の除却価額については、5%除却法のほか、未償却残額除却法(法基通7−7−3の2)、配賦簿価除却法(同7−7−3の3)での計算特例が認められている。
具体的には、@除却等に係る個々の資産の個別耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額、A除却等に係る個々の資産が含まれていた総合償却資産の総合耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額を、継続適用を条件に除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額とすることが認められている。
また、法人が各事業年度において計上した総合償却資産の償却費の額を、それに含まれる個々の資産に合理的基準に基づいて配賦している場合に、その帳簿価額を基礎として個々の資産の除却等による損益の計算をすることも認められている。
なお、実務上、総合償却を行っている企業の多くは、上記の特例を適用しているようだ。
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(週刊「T&A master」198号(2007.2.12「今週のニュース」より転載)
(分類:税制改正 2007.3.14 ビジネスメールUP!
962号より
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