「別表八受取配当等の益金不算入に関する明細書」の記載に要注意
不動産投資信託、特定目的会社からの配当は益金不算入の対象外
受取配当等の益金不算入(法法23条等)の適用を受けるための「別表八受取配当等の益金不算入に関する明細書」に、不動産投資信託(REIT)、特定目的会社(SPC)からの配当を記載するケースが多くなっている。
しかし、不動産投資信託や特定目的会社からの配当を法人が受け取る場合、普通法人(上場株式)からの配当とは異なり、不動産投資信託や特定目的会社の段階で損金算入が認められていることから、二重課税を回避する目的の益金不算入制度の対象とはならないので注意しておきたい。
「特定目的会社」の記載は一目瞭然
「受取配当等の益金不算入制度」は、配当を支払う法人と配当を受け取る法人における法人税の二重課税を回避するための制度。この規定の適用を受ける場合には、「別表八 受取配当等の益金不算入に関する明細書」の記載が必要となる。
しかし最近、この別表八の記載について誤りが多くなっている。具体的には、受取配当等の益金不算入の対象外となる不動産投資信託(REIT)や特定目的会社(SPC)からの配当金額を記載しているもの。
不動産投資信託は、「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づいて設立された投資法人が運用する投資信託であり、そもそも投資法人から受け取る配当等の額は「受取配当等の益金不算入」制度の対象とはなっていない(措法67条の15第1項)。投資法人においては、支払配当等の損金算入が認められており、そこに二重課税の問題が生じないからだ。同様に、特定目的会社においても支払配当等の損金算入が認められていることから、特定目的会社からの配当についても益金不算入の対象外とされている(措法67条の14第4項)。
ちなみに、特定目的会社は商号のなかに「特定目的会社」の文字を使用しなければならないので、特定目的会社が別表八に記載されている場合、課税当局の目にとまりやすいことになる。
上場投資信託からの収益の分配額は全額が益金不算入の対象に
上場投資信託(ETF)に関しては、益金不算入となる収益の分配額を2分の1または4分の1として計算しているケースが多くなっている。しかし、上場投資信託は受取配当等の計算上「特定株式投資信託」(信託財産を株式のみで運用し、かつ、特定の株価指数に連動するように設定されていること、その投資信託の受益証券が証券取引所に上場されていることなどが要件)に該当する(措法67条の6)。
したがって、その収益の分配額の全額が受取配当等の益金不算入の対象となるので留意しておきたい。
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キーワード 「受取配当等」⇒61件
(週刊「T&A master」195号(2007.1.22「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2007.2.21 ビジネスメールUP!
953号より
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