国税庁「特殊支配同族会社」「役員給与」関係のQ&A公表
取引等があるのみでは「同一内容の議決権」と判断せず
国税庁は12月21日、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」および「役員給与」に関するQ&Aを公表した(今号28頁参照)。役員給与に関しては昨年6月公表分に続く第2弾で、特殊支配同族会社関係では国税庁としては今回が初めてとなる(役員給与関係については、今号5頁〜7頁参照)。
会計参与、監査役は「常務に従事する役員」に該当せず
「業務主宰役員」については、「肩書きではなく実質的な関わりにより判定する」ことが改めて明確にされた。具体的な判断要素として、「(多額の)融資契約の実行」「役員給与の多寡」のほか(本誌181号10頁)、「事業計画の策定」「人事権の行使等に際しての意思決定の状況」が例示されている。
また、「常務に従事する役員」については、「代表取締役」「副社長」「専務」「常務」は「常務に従事する役員」に該当することとされた。すなわち、これらの地位にある者は、その肩書きをもって自動的に「常務に従事する役員」に該当することになる。
一方、「使用人兼務役員」については、「その者に対する役員給与のうち、役員としての職務に対する給与が使用人としての職務に対する給与を超える場合」に「常務に従事する役員」に該当することとされ、「会計参与」「監査役」は「常務に従事する役員」には当たらないとされた。
税理士、従業員持株会による保有も可?
特殊支配同族会社の判定に際して、「同一の内容の議決権を行使することに同意している者」がいる場合には、同族関係者等以外の者が保有する株式は業務主宰役員等が保有するものとみなされることになるが(法令72条4項)、Q&Aでは、ここでいう「同意」の意義が明らかにされている。
それによると、株式の所有が組合形態や信託形態で行われている場合で、特定の組合員や委託者等により議決権が行使される旨の合意等がある場合や、株式を持ち合うことによりお互いの意に沿うよう議決権を行使する旨の合意がある場合、白紙委任状を渡している場合は、「同意」に該当することとした。
また、「単に過去の株主総会等において同一内容の議決権行使を行ってきた事実」や「当該個人又は法人と出資、人事・雇用関係、資金、技術、取引等において緊密な関係があること」のみをもっては、当該個人または法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意していることにはならないとしている。これは、従業員持株会(人事・雇用関係)や税理士(取引等)等が株式を保有するだけで形式的に法人税法施行令72条4項が適用されるものではないことを意味すると考えられ、注目される。
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キーワード 「特殊支配同族会社」⇒55件
(週刊「T&A master」193号(2007.1.8「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2007.2.2 ビジネスメールUP!
946号より
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