減価償却制度の償却可能限度額の撤廃や耐用年数の見直しを求める
経産省、平成19年度税制改正要望を公表
経済産業省は8月25日、平成19年度税制改正要望を公表した。減価償却制度の償却可能限度額を撤廃し、全額償却可能とすることなどを求めている。
処分費用がスクラップ価額を大幅に上回る
平成19年度税制改正における経済産業省の目玉は減価償却制度の抜本的見直しだ。わが国の場合、償却可能限度額は95%とされているが、諸外国と同様にこれを撤廃し、全額償却可能とすることを求めている。5%の簿価が残っているため、設備廃棄の際に大きな除却損や処分費用が発生し、設備更新の足かせとなっていると指摘している。
この点、昨年の8月に経済産業省等の関係省庁や日本経済団体連合会との合同調査(製造業を中心とした1,011社を対象に設備96万台を調査)によると、除却時に実際に売却できた資産は3.8万台と除却台数全体の5.3%で、除却時の価値であるスクラップ価額の合計額は109億円と取得価額の0.34%にすぎないという調査結果がでている。一方、処分費用は1,056億円と取得価額の3.3%とスクラップ価額を大きく上回っている。
また、法定耐用年数の見直しも求めている。諸外国に比べて法定耐用年数が長い設備が多いという指摘だ。ただ、財務省サイドでは、法定耐用年数について、設備の使用実態に即した上で、細分化する方向での認識を持っているため、設備によっては、企業側に不利となることも考えられそうだ。
その他、会社法で導入された親会社株式を対価とする三角合併については、課税の繰延措置導入を求めている。株主が非居住者の場合等、問題点も残されているが、平成19年度税制改正での実現に向けた検討が行われることになりそうだ(本誌175号11頁参照)。また、信託法に係る税制措置等を盛り込んだ。
相続時精算課税の年齢要件の撤廃を求める
中小企業に関する要望としては、事業承継が円滑化されるよう、後継者が非上場の自社株式を保有している間は、相続税の課税を猶予することや種類株式の評価方法の明確化を挙げている。特に事業承継下で活用が見込まれる完全無議決権株式については、配当還元方式または原則的評価方式から一定の評価減が適用されることを求めた。
また、相続時精算課税制度については、現行、65歳以上等の要件が求められているが、中小企業のオーナーが自社株式を後継者である子供に贈与する場合には、年齢要件を緩和し、非課税枠も2,500万円から3,500万円に拡充すべきとしている。
その他では、地域資源(産地技術、農水産品等)を活用した新事業展開に取り組む中小企業に対し、設備投資に係る7%の税額控除または30%の特別償却を講じることを求めている。
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キーワード 「法定耐用年数」⇒35件
(週刊「T&A master」177号(2006.9.4「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2006.10.6 ビジネスメールUP!
902号より
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