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寺院が営む“ペット供養”は「収益事業に該当」
料金表から「対価性」明らか、ペット葬祭は請負業・倉庫業

 

名古屋地裁民事第9部(加藤幸雄裁判長)は3月24日、宗教法人が営むペット葬祭業が収益事業に該当するか否かが争われた事件に対する判決を言い渡した。加藤裁判長は、「パンフレットやホームページに料金表を定め、その料金表はペット葬祭を実施する民間業者の料金システムと極めて類似していることからすると、対価関係を是認するのが相当である。」などと判示。原告の請求を棄却する判決を言い渡した(平成16年(行ウ)第4号)。

「ペットだけ」なのか!?
 今回、訴えていたのは、年間2,000件程度のペット葬祭の依頼を受けている宗教法人「慈妙院」動物霊園の渡辺円猛住職。渡辺住職は、ペットの供養が「課税すべき収益事業に当たる」と判断されたことについて、「人形供養などは非課税扱いなのに、ペットだけが特別(課税)扱いにされて不満。料金表が存在するから、という理由も納得できない。」などと話している。
 一方、加藤裁判長は、法人税法上の収益事業概念の解釈について、「公益法人等であっても、一般事業者が利益の獲得を目的として行っている事業と同じ類型の事業から生じた収益に対しては、税制上の便宜を提供すべき根拠がなく、課税対象としていると考えられる」などと判示。また、この「収益事業性」の有無は、@事業の展開の手法、A収受される財貨の額が定まるに至る経緯、Bその額と給付行為の内容との対応関係などの具体的諸事情を総合的に考慮し、社会通念に従って判断すべきものとした。さらに、これらの考え方は、ペット葬祭業だけではなく、「針供養や人形供養などの宗教的行為にも当てはまる」と判示した。

パンフレットやHPに料金表
 加藤裁判長は、原告のペット葬祭業について、「パンフレットやホームページに、3種類の葬儀内容と動物の重さの組み合わせに応じた料金表などを定めている上、ペット葬祭を実施する民間業者が多数存在しており、その料金システムは原告のものと極めて類似していることからすると、依頼者の支払う金員が任意のものであるとは到底解されず、両者の間に対価関係を是認するのが相当である。」と判断した。また、ペットの死体の処理については、現行法上、特段の規制はなく、法的には「廃棄物」として、市町村が処理すべき性質のものであるから、「人についての墳墓地と同様の公共性、公益性は見出しがたい」と判断した。
 今回の事件について、公益法人の税務に詳しい田中義幸氏(公認会計士・税理士)は、「ホームページを見ると、明らかに対価性・継続性のある行為なので、葬式、火葬までが「請負業」、納骨が「倉庫業」に該当して、収益事業になる。」と話している。

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週刊「T&A master」109号(2005.4.4「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2005.4.20 ビジネスメールUP! 698号より )

 

 
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