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有償ボランティアで行って得た謝礼・寄付金は法人税の課税対象
負担内容(額)を利用者に委ねないサービスは贈与といえず

 

 高齢者の生活援助などの事業(ふれあい事業)を「有償ボランティア」で行って得た謝礼に対し、法人税を課税するのは違法として千葉県流山市の特定非営利活動法人(NPO法人)「流山ユー・アイネット」(米山孝平代表)が松戸税務署長に課税処分の取消を求めた訴訟の判決が、4月2日、千葉地裁であった。山口博裁判長は「本件事業は、1時間当たり8点(800円相当)の“ふれあい切符”を販売することによって、一定の役務を提供して対価の支払を受ける法人税法施行令5条1項10号にいう請負業に該当するから、法人税の課税対象となる」との判断を示した。

個別の実態に基づき判断しているのが現状
 「有償ボランティア」とは、無報酬が原則のボランティア活動のうち、謝礼などを受け取って行う活動のこと。金銭を直接受け渡す方式のほか、地域通貨やチケットを利用したり、活動した時間を積み立てて後日、サービスを受ける「時間貯蓄」などもある。無償ボランティアへの遠慮や行政サービスへの拒否感から、在宅福祉分野を中心に活動が広まっている。しかし、有償ボランティアに法律上の定義はない。国税庁も厚生労働省も、収益が法人税の対象になるか、その行為が労働に当たるかを、個別の実態に基づいて判断しているのが現状だ。
 同法人の事業は、ボランティア協力会員を高齢者宅などに派遣し、利用会員は1時間800円の“ふれあい切符”を購入し、支払に充てる。協力会員は1時間600円を受け取り、200円を事務運営費としてNPO法人に納める仕組み。同法人の運営規則には、1時間当たり6点(600円相当)のふれあい切符は、協力会員に対する謝礼と定められており、同法人が受領する1時間当たり2点(200円相当)のふれあい切符は、同法人の事務運営費としての寄付金と定められている。

保守的な判断が現場に与える影響は
 判決は、「原告は、協力会員をサービス提供の履行補助者として、自ら会員に対しサービス提供を行っているものと認めるのが相当である」とし、「ふれあい切符の点数と販売価格、その点数の利用方法等が定められていること等に鑑みれば、ふれあい切符は、1点当たり100円相当の換金性のあるサービス利用券であると認めるのが相当である」とした。
 今回の判決は、ボランティア活動を「労働行為」としており、「愛情に基づいて行う家族間のサービスと同性質のものである」とする原告の主張は認められなかった。ボランティア事業の現場に波紋を呼ぶことは必至だ。有償ボランティアを法律上どのように位置づけるのか。原告は、ボランティアの精神を尊重する制度・法解釈を国税当局、司法に求めていた。





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週刊「T&A master」063号(2004.4.19)「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2004.6.25 ビジネスメールUP! 585号より )

 

 
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