第66回

審査請求と裁判の違い

 国税に関する処分に不服がある場合には、不服申立てをすることができます。不服申立てには処分庁(税務署長等)に対する異議申立てと処分庁以外(国税不服審判所)に対する審査請求があります。 国税不服審判所が行う審査請求の裁決に不服がある場合には、裁判所に処分の取消を求める訴えを提起することになります。

  さて、国税不服審判所の審査請求と裁判所における裁判には、どのような違いがあるのでしょうか。一目でわかる大きな違いは、訴訟費用と中立性です。

  国税不服審判所の審査請求は無料で行われ、税理士を代理人とすることができます。一方、裁判所に訴えを提起する場合には、訴訟費用を納めなければならず、代理人には弁護士しか認められていないため、実態としては弁護士費用も無視できません。

  国税不服審判所は、税務行政の執行機関とは独立した国税庁の特別な機関として位置付けられていますが、審判官の構成などから判断すれば、国税庁の一機関としての印象が拭えません。裁判官は、国税庁とは独立していると考えられているので、納税者から見た場合には、大きな違いに映ります。これは、審査請求が納税者の権利救済だけでなく、税務行政の適正さをチェックする役割を担っていることに起因します。

  実際の審理面でも違いがあります。審査請求では、審判官の職権審理を中心に行われますが、裁判では、当事者の主張を中心とする当事者主義で運営されます。また、審査請求には、請求人と原処分庁が対峙して、論争するような場面は、通常設けられませんが、裁判では、形骸化が指摘されているとはいえ、法廷での対審構造により審理が行われます。

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2002.7.19 ビジネスメールUP! 317号より )

 

 
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