第63回

産業の空洞化は税制が原因?

 マクロ経済学をかじったことのある人ならば、『三面等価の原則』という言葉に聞き覚えがあるでしょう。マクロ経済学では、経済(国民所得)を『生産面』・『分配面』・『支出面』の三面から分析することがあります。このような分析方法は、税制を考える上で大きく役立ちます。『生産面』・『分配面』・『支出面』のいずれの状態に課税するのが適切なのだろうかと検討することになります。

 『生産面』に対する課税の代表的なものが法人税です。一部の所得税も『生産面』に対する課税となりますが、付加価値を生じさせる企業の代表的な特徴を持っているものが、わが国では法人ということになります。

 『分配面』に対する課税の代表的なものは所得税です。分配された国民所得は人に帰属し、その段階で所得税が課税されることになります。

 『支出面』に対する課税の代表的なものが消費税です。支出は、大きく分類すると消費と投資になるわけですが、投資についての課税は、投資収益の回収や財産課税(相続税等)まで繰り延べられることになります。

  わが国の税制は、改善されつつあるものの『生産面』に対する課税が重視されてきました。 また、諸外国に比べると、『支出面』に対する課税が遅れて(見劣りして)います。このような現状は、経済のボ−ダ−レス(無国境)化の進行により、「生産は外国で、消費は日本で」という傾向を生むことになります。日本は、国際的には、「生産に厳しく・消費に優しい」税制を持つ国になっています。 『生産面』への課税は、『分配面』・『支出面』への課税に比べて、経済活性化を阻害すると言われています。経済循環の最初の段階での課税が重視されれば、その後の段階が目減りしていくことになるからです。

  経済学の観点から分析すれば、わが国の経済活性化には、法人税減税・消費税増税が不可欠という結論がでるわけです。

 

バックナンバー

2002.6.28 ビジネスメールUP! 308号より )

 

 
過去のニュース、コラムを検索できます
 Copyright(C) LOTUS21.Co.,Ltd. 2000-2017. All rights reserved.
 全ての記事、画像、コンテンツに係る著作権は株式会社ロータス21に帰属します。無断転載、無断引用を禁じます。
 このホームページに関するご意見、お問合せはinfo@lotus21.co.jp まで