第52回


中小企業の会計基準

 国際会計基準の導入でわが国の会計基準が大きく変わりました。端的な例をあげれば、わが国の企業会計原則は、取得原価主義を標榜してきましたが、国際会計基準により、時価主義が導入されることになりました。国際的に活躍する大企業が国際会計基準に則って会計処理を行い、ディスクロ−ズしていくことは当然としても、国内で活動する非上場企業にまで、国際会計基準の導入を求めるべきかについては、異論も多いのです。だからといって、会計基準を2通り作成すれば、会計基準は、強制適用を前提とする法律ではないだけに、会計基準の信用が失墜することになりかねません。

  中小企業の会計の実態は、強行法である税法の影響を大きく受けたものになっています。

  国際会計基準(時価主義)によれば、資産及び負債は、現在価値で計上しなければなりませんが、税法は資産(一定の有価証券を除く)の評価損益を原則として認めていないため、税法の影響の強い中小企業に時価主義を強制することは困難な状況です。中小企業では、減損会計・退職給付会計・税効果会計等に看過しえないコストが生じる一方で、実質的なメリットが享受できないことが指摘されています。

  諸外国の制度も中小企業向けの会計基準を設けている英国・カナダ、中小企業向けの会計基準は存在しないアメリカ・ドイツというように様々なものとなっています。

  現在、中小企業庁は、商法・会計・税法の有識者による「中小企業の会計に関する研究会」を設置し、検討を進めていますが、必ずしもその方向が定まった議論とはなっていないようです。

 

 

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2002.4.5 ビジネスメールUP! 276号より )

 

 
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