第42回
所得控除って何だ?!
中期的な税制のあり方を検討している経済財政諮問会議と政府税制調査会は、今後の税制について、「広く浅く」課税が行われる方向で検討を進めている。具体的には、消費税の税率アップ、所得税の所得控除の見直し、事業税の外形標準化などがこの方向の議論である。
それでは、所得税の所得控除とは、どのような意味を持つものであろうか。所得税の所得控除といわれるのは、「雑損控除」「医療費控除」「社会保険料控除」「小規模共済等掛金
控除」「生命保険料控除」「損害保険料控除」「寄付金控除」「障害者控除」「老年者控除」「寡婦(寡夫)控除」「勤労学生控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」「基礎控除」である。
所得税の計算は、簡潔にいえば、所得の金額から、所得控除の金額を差し引いて、税率を乗じて計算することになる。所得控除の金額が、所得の金額を超える場合には、税額が0となるのである。所得税が課税されることになる所得金額を課税最低限の金額というが、所得控除が多岐にわたり、金額も拡充されてきたことから、課税最低限が上昇し、税負担が生じない人が数多くなってきた。税制のあり方として、みんなで税金を負担する方向を明確にするために、所得控除の縮小・廃止を検討していくということだ。
具体的にAさんについて検討してみよう。
給与収入400万円(給与所得266万円)、社会保険料負担額40万円、専業主婦と2人の子供(特定扶養親族1人、一般扶養親族1人)、生命保険と損害保険は控除を最大に受けるように加入している。
所得金額 266万円
所得控除額 40万円(社保)+10万円(生保)+1.5万円(損保)+38万円(配偶者)+38万円(配偶者特別)+101万円(扶養)+38万円(基礎)=266.5万円
所得控除の金額が、所得の金額を超えるため、所得税額が0となる。
税制改正の審議の対象となるのは、「配偶者控除」「基礎控除」などの「人的控除」、特に 「配偶者控除」「配偶者特別控除」は、女性の社会進出を阻む性格を有するとして、見直しが検討されている。仮に「配偶者控除」「配偶者特別控除」が全廃されることになれば、Aさんも所得税を負担することになるわけだ。
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(2002.1.25 ビジネスメールUP!
247号より
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