第35回
自宅を担保に資金を借りたが・・・
不況の折、企業よりもさらに厳しい経営環境にさらされている個人事業者。営業資金の獲得には死活問題がかかっているだけにたいへんです。
金融業者から営業資金を借入れたものの、担保として差入れる資産がなく、自分の住んでいる家を譲渡担保の形で提供する例もよくあるケース。この場合には、土地建物の所有名義は移転することになりますが、税務上、譲渡所得の対象になるのではといった疑問も生じるところ。営業資金が足りない上に譲渡所得として課税されてはたまったものではありません。
しかし、この譲渡担保は資産の移転の形式をとっているものの、債務者と債権者とがその目的物について賃貸借契約を締結し、その契約に基づいて債務者が目的物を引き続き占有して使用するものであり、実質的には債権の担保として利用されている制度。したがって、譲渡担保契約であっても、
(1)その担保に係る資産を債務者が従来通り使用収益すること、(2)通常支払うと認められるその債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払いに関する定めがあることの2点を契約書上で明らかにし、かつ、その譲渡が譲渡担保のみを目的として形式的になされたものである旨の債権者と債務者が連署した申立書を税務署に提出すれば、その譲渡がなかったものとして取り扱うことができるのでご安心を。
ただし、その後、上記の要件を欠くことになった場合や債務不履行により弁済に充てられたような場合には、譲渡があったものとして課税されてしまうので要注意。
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(2001.11.16 ビジネスメールUP!
225号より
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