第32回


印紙に「消印」を忘れたら罪になる?

 「領収書もらえる?名前は株式会社…」と言えば、“社用族”の決り文句。景気低迷で一時の勢いは衰えたとはいえ、店のグレードを落とすなどして今もしっかり生き延びている。  

  ところで、ちょっと高価な店で接待したりすると、領収書に何か切手のようなものが貼り付けてあることがある。これは「印紙」と呼ばれ、国税の一つである「印紙税法」により貼り付けが義務付けられているもの。例えば領収書であれば、金額が3万円以上100万円以下であれば「200円」の印紙を貼り付けなければならない。  

  ただし、この印紙、ただ貼り付ければいいというわけではない。つい忘れ勝ちなのが「消印(割印)」だ。印紙税法8条2項には、「印紙税の納付として印紙を貼り付ける場合には、消印をしなければならない」と規定されており、消印を忘れたら、印紙額に相当する過怠税というペナルティが課されることになる(印紙税法20条(1)(2)(3))。しかも、印紙税法では、1,000円未満の過怠税は1,000円に切り上げられることになっているから(印紙税法20条(4))、仮に100枚の領収書について消印を忘れたら、10万円もの税金を払わなければならなくなる。  

  このように印紙に消印をすることが求められているのは、“使いまわし”を防ぐため。つまり、領収書に貼り付けられた印紙を上手にはがしてもう一度使うというセコい行為をシャットアウトしようというわけである。1枚や2枚うっかりミスで消印を忘れたのであれば、税務署側もそう目クジラを立てることもないと思われるが、常習犯となれば、しっかり過怠税をとられるおそれが強いので要注意である。  
  もっとも、印紙に消印をしたかしないかは、「店側」の問題。印紙税法上、領収書をもらった側に問題が生じることはない。とはいえ、「消印」については、何の悪気もなく単に無知でやっていないお店も多いので、もし気付いたら、教えてあげるのもいいかも知れない。次回からサービスがよくなること請け合いだ。

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2001.10.26 ビジネスメールUP! 216号より )

 

 
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