第7回

相続税
お腹の中の赤ちゃんが財産を相続する!?

 女性の社会進出にともなって、最近高齢出産が増えている。今では30代後半での出産も珍しくないという。  ところで、こうした高齢の女性の両親となると、70歳を超えているケースも多い。そこで問題になりかねないのが、「相続」だ。

 「10月10日」というように、人間の女性の妊娠期間は約10か月と長い。しがたって、その間、不幸にして親が亡くなるというのも十分にあり得ることである。例えば、女性の父が「余命1か月」を宣告されたとしよう。しかし、出産予定日は半年後。どうやら孫の顔を見ることはできそうにない―――というようなケースだ。

 こうした場合、未来のおじいちゃんとしては、「せめて孫のために財産だけでも残してやりたい」と考えるのが普通だろう。とはいえ、まだ生まれてもいない孫に財産を相続させることなどできるのだろうか?  答えは「YES」。民法では、胎児、すなわちお腹の中の赤ちゃんを(死産の場合を除き)既に生まれているものとみなして、財産を相続する権利を与えているからだ(民法886条)。もちろん、胎児が相続した財産にも相続税はキッチリかかることになる。ただし、相続税の申告をする時に赤ちゃんがまだ生まれていない場合には、赤ちゃんが「いない」ものとして相続税の計算を行って申告をしておき、実際生まれてから相続税を清算することになっているので注意したいところ。

 天国のおじいちゃんとしては、孫の顔を見れないのはいかにも残念であろう。しかし、いつか孫が大きくなった時、きっと顔を見ぬおじいちゃんに感謝するに違いない。

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2001.4.13 ビジネスメールUP! 142号より )

 

 
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