第4回

相続税
脳死で相続が開始する!?

 税法では、原則として「相続の開始」があったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告をしなければならないこととされている。この「相続の開始」とは言うまでもなく「人の死」であるわけだが、脳死による臓器移植などの普及によって、最近では“人の死はいつなのか”が微妙になってきている。

  例えば、年末に脳死状態に陥り、年を明けて完全に死亡した人がいたとしよう。この人は、税務上、年末に死亡したことになるのだろうか?それとも年初に死亡したことになるのだろうか?

  相続財産の評価は課税年分によって大きく違うから、被相続人が「いつ死亡したのか」、言い換えれば、税法上の「相続の開始」がいつなのかは非常に重要になってくるのである。

  ところが、相続税法は、この「相続」や「相続の開始」について明確に規定していない。これらの解釈は民法に従い、民法882条では、「相続は、死亡によって開始する。」と規定されている。

  結論としては、“心臓が停止(自然人の肉体が死亡)”したことによってはじめて「相続が開始」するのであって、心臓が停止していない脳死段階では未だ死亡に至っておらず、相続税法でいうところの「相続の開始」にも至っていないと考えられている。結果 的には、戸籍に記載された死亡の時期が税法上の「相続の開始」時期となるのである。

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2001.3.23 ビジネスメールUP! 133号より )

 

 
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