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        平川税務会計事務所  佐々木京子 
         
          第73回  
          電子データによる帳簿保存 
           
        1. 概要  
           電子帳簿保存法の施行で、平成10年7月より電子計算機で作成した国税関係帳簿書類については紙に出力した形で保存することを省き、一定の要件の下に電磁的方法により保存することも認められることとなりました。 
           
           
          2. 対象となる帳簿書類  
          @ 仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳・補助元帳等の帳簿 
          A 貸借対照表・損益計算書等の決算関係書類  
          B 領収書・請求書の控え等の書類  
           
           この制度の対象となるのは、上記のような帳簿書類を自己(記帳代行業者・会計事務所等への委託も含みます)が一貫して電子計算機を使用して作成する場合で、記録の最初の段階から終わりまで電子計算機の使用を貫くことが要求されています。 
           
           
           また、相手方から受取る請求書・領収書などの書類は、対象となる書類とは認められません。  
           
          3. 電子データの保存方法  
           電磁的方法による保存とは、電子的方式・磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録で、電子計算機による情報処理の用に供されるものと定義されています。 
           
           電磁的記録の具体的な記憶媒体について限定列挙はありませんので、磁気テープ・FD・HD・CD−R・MO等を採用することができます。  
           
           ただし、これらの電磁的記録をマイクロフィルムに出力して保存するCOM(電子計算機出力マイクロディスク)を採用する場合には、当初3年間は電磁的記録を併せて保存し、またCOMの検索機能を確保すること等、一定の要件が課されています。 
           
           
          4. 電子データの保存の要件  
           帳簿については次の全ての要件を、書類についてはB〜Dの要件を満たすことが要求されています。 
           
          @ 電子データの訂正又は削除を行った場合及び相当期間経過後に追加入力を行った場合に、その事実を確認できること。 
          A 各帳簿間において、相互に関連性を確認できること。  
          B 電子データの作成に使用するシステムの概要・操作説明書等を備え付けること。 
          C 帳簿書類を備付・保存する場所に、電子計算機・ディスプレイ・プリンター等を備付け、画面及び紙面に速やかに出力できるようにしておくこと。 
           
          D 電子データに条件検索の設定機能を設けておくこと。 
           
          5. 承認申請手続きとその期限  
           帳簿・書類を電子データにより保存しようとする場合は、納税地等の所轄税務署長に、申請に係る帳簿・書類の保存場所、備付・保存開始日等を所定の事項を記載した申請書に一定の書類を添付して承認を受ける必要があります。 
           
           
           申請書の提出期限は、帳簿の備付日または書類の保存開始日の3月前までに提出する必要があり、この場合の帳簿の備付を開始する日とは、その課税期間の初日となります。 
           
           
          新設法人の期限の特例 
           新設法人がその設立の日から6月以内に備付・保存を開始する帳簿・書類について承認を受けようとする場合には、設立の日以後3月を経過する日までに申請書を提出すればよいこととなっています。 
           
           
          承認の単位  
           承認を受けるにあたっては、一部の帳簿・一部の書類について承認を受けることができ、また帳簿を本店で作成するほか事業所ごとに作成しているような場合には、それぞれの帳簿ごとに承認を受けることもできます。 
             
        
         (2002.10.21 ビジネスメールUP! 
          351号より 
          ) 
            
          
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