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        平川税務会計事務所  栗原 初治 
         
          第66回  
          短期の前払費用について 
           
        ☆ 法人税基本通達2-2-14  
            前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。 
           
          (注)例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。 
           
           
          ☆ 本通達の取扱いと注意点  
            この通達は、1年以内の短期の前払費用について、厳密な期間対応による繰延経理をせずに、その支払の時点で損金に算入することを認めるものです。 
           
           
            具体的には、支払家賃、リース料、支払利息、支払保険料などが上げられます。  
           
            また、この通達の適用がある短期の前払費用は、「その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの」に限られますから、仮に1年以内に役務提供が開始されるとしても、その終期が1年を超えて到来するものに係る前払費用は、これに該当しないことに注意する必要があります。 
           
           
            例えば、3月決算法人が、3月中に5月1日から向こう1年間の保険料を 前払いしたような場合には、この通達の適用はないということになります。 
           
           
          ☆ (注)書  
            借入金を預金や有価証券などの金融資産に運用するケースがありますが、このように借入金とその運用資産とが明らかにひも付きの関係にある場合には、その借入利子については、その運用資産から生ずる利子等の収益との対応関係を重視する必要があるため、たとえ1年以内の短期の前払利子であるからといって、この通達を適用して支払時点における損金算入を認めるのは相当ではありません。 
           
           
            そこで、(注)書により、このような収益の計上と対応させる必要のある前払費用については、原則どおりに期間対応で繰り延べるべきことを明らかにしています。(昭61直法2-12により改正) 
           
           
          参考 
           ・所得税においても規定があります。(所基通37-30の2)  
          ・消費税については、前払費用につき所基通37-30の2又は法基通2-2-14の取扱いの適用を受けている場合は、その前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととされています。(消基通11-3-8) 
           
         
        
         (2002.8.26 ビジネスメールUP! 
          330号より 
          ) 
            
          
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