平川税務会計事務所 岩渕 尚樹
第63回
金庫株とみなし配当
☆ 自己株式の取得にかかる商法改正
自己株式の取得及び保有については、従来、資本充実・維持の原則に反する等の理由から原則禁止されていましたが、平成13年に商法の改正が行われ、自己株式の取得及び保有が原則自由(いわゆる金庫株の解禁)となりました。
この自己株式の取得については、定時株主総会において次の定時株主総会終結の時までに取得できる自己株式の種類、総数及び取得価額の総額を決議し、取得する必要があります。ただし、この自己株式の取得は利益処分後の配当可能限度額の範囲内において行わなければならないことになっています(商法210条)。
☆ みなし配当
株主等が、その発行法人の自己株式の取得により金銭その他の資産の交付を受けた場合、その金銭の額又は金銭以外の資産の価額の合計額が、その発行法人の資本等の金額のうち、その交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超える場合には、その超える部分の金額は利益の配当又は剰余金の分配とみなされ、所得税の課税の対象となります。
ただし、次の方法による自己株式の取得はみなし配当の対象から除かれています。(所法25@、所令61@)
@ 証券取引所(外国の証券取引所を含みます。)の開設する市場における購入
A 店頭売買登録銘柄として登録された株式のその店頭売買による購入
B 営業の全部の譲受け
C 合併、分割又は現物出資による被合併法人、分割法人又は現物出資法人からの移転
D 合併又は分割型分割により、いわゆる抱合せ株式に対し株式割当等を受けた場合(株式割当等を受けたものとみなされる場 合を含みます。)のその株式割当等
E 端株又は一単元に満たない株式の買取請求による買取り
☆ 自己株式を取得した法人の手続き
自己株式を取得した法人は、源泉所得税の徴収義務と支払調書(自己の株式の取得等の場合の支払調書)及び合計表の提出が必要となります。
(2002.7.29 ビジネスメールUP!
321号より
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