平川税務会計事務所 中村 一好
第59回
退職給与引当金制度の廃止について
☆ 概要
平成14年度の税制改正において、課税ベ−スの見直しの一環として、法人税法上の退職給与引当金が廃止され、退職給与引当金勘定を取崩し益金に戻し入れることとされました。
☆ 平成10年度の改正
3月期決算から |
10年 |
11年 |
12年 |
13年 |
14年 |
15年 |
16年
|
累計限度額 |
40% |
37% |
33% |
30% |
27% |
23% |
20% |
退職給与引当金:累積限度額を期末要支給額の20%に(改正前は40%)
平成10年度改正で累積限度割合の段階的引き下げを経て20%への縮減が講じられていました。例えば、3月決算法人ならば、平成13年3月期は、期末要支給額の30%、平成14年3月期は、期末要支給額の27%と段階的に縮減することとされていました。
☆ 平成14年度の改正
平成14年度の改正では、連結納税制度の導入に伴う税収の減収に対する対策として、課税ベ−スの見直しが図られることとなりました。
この結果、退職給与引当金の制度は全面的に廃止されることになりました。
これにより、平成14年3月期の27%を限度とする繰入れが最終となり、以後の事業年度から、既に計上されている退職給与引当金勘定の金額は、中小企業および協同組合等については、10年間(10分の1づつ)で、それら以外の大法人等については、4年間(平成14年・15年度では10分の3づつ、平成16年・17年度では10分の2づつ)で取り崩すことになり、益金に戻し入れることとされました。
また、会計上で退職給付債務等の引当を計上していても、税務上では損金とはならないため、申告書で全額加算することになり、会計と税務の距離が広がる結果となりました。
(2002.7.1 ビジネスメールUP!
309号より
)
|