平川税務会計事務所 知野久美子
第57回
有価証券の譲渡原価の計算
平成12年度の税制改正のおいて、法人が有価証券の譲渡をした場合の譲渡原価等の計算及びその評価の方法について整備が行われ、平成12年4月1日以降に開始する事業年度から適用されることになりました。
具体的には、有価証券の譲渡に係る原価の額を計算する場合におけるその一単位当たりの帳簿価額は、売買目的有価証券、満期保有目的等有価証券及びその他有価証券の区分ごとに、かつ、その銘柄を同じくするものごとに、「移動平均法」(法定評価方法)又は「総平均法」により算出することになります。
☆移動平均法
移動平均法とは、有価証券をその銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄を同じくする有価証券を取得する都度その有価証券のその取得直前の帳簿価額と取得した有価証券の取得価額との合計額をこれらの有価証券の総数で除して平均単価を算出し、その算出した平均単価をもって一単位当たりの帳簿価額とする方法をいいます。
(取得する直前の有価証券の帳簿価額+新たに取得した有価証券の帳簿価額÷( 取得する直前の有価証券の数+新たに取得した有価証券の数)
☆総平均法
総平均法とは、有価証券をその銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄の同じものについて、事業年度開始の時において有していた有価証券の帳簿価額とその事業年度において取得した有価証券の取得価額の総額との合計額をこれらの有価証券の総数で除して平均単価を算出し、その算出した平均単価をもって一単位当たりの帳簿価額とする方法をいいます。
(期首における有価証券の帳簿価額+期中に取得した有価証券の帳簿価額の総額)÷( 期首における有価証券の数+期中に取得した有価証券の数)
☆有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出
法人が、有価証券を新たに取得した場合には、その取得した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限(仮決算による中間申告書を提出する場合には、その中間申告書の提出期限)までに、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法を書面により納税地の所轄税務署長に届け出ることとされています。
有価証券の一単位あたりの帳簿価額の算出方法を選定をしなかった場合又は選定した方法により算出しなかった場合には、移動平均法により一単位当たりの帳簿価額を算出することになります。
☆有価証券の帳簿価額の算出方法の変更
法人が、上記の有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法を変更する場合には、変更する事業年度開始の日の前日までに納税地の所轄税務署長に承認申請書を提出し、その承認を受ける必要があります。
(2002.6.17 ビジネスメールUP!
303号より
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