平川税務会計事務所  斎藤 毅


第53回
マネキン及び人材派遣会社への報酬の源泉所得税と消費税

☆ 源泉所得税  
@マネキンへの報酬
  マネキン紹介業は、厚生労働大臣の許可を必要とする有料職業紹介事業のひとつで、自らマネキンを雇用することなく、雇用主の求めに応じてマネキンを斡旋し、その手数料を受け取るものです。つまり、雇用関係は、マネキンとその職業紹介機関には存在せず、紹介を受けた各企業がマネキンと直接雇用契約を締結することになります。よって、マネキンへの報酬を一括してその紹介機関へ支払っている場合であっても、マネキンの紹介を受けた企業が源泉徴収義務者となります。
  また、職業紹介機関を通じてデパート等に派遣されるマネキンや病院に派遣される看護婦といった人は、雇用主の指揮監督下で労働に従事し、その報酬も労働した日や時間に応じて定められるものと認められるので、所得税法204条の報酬ではなく、給与として取扱われることとなります。

A人材派遣会社への報酬   
  人材派遣会社における法律関係は、「自己の雇用する労働者」を「その雇用関係の下で」他者に派遣し、他者の指揮命令を受けて労働させるというものであり、雇用契約は労働者と人材派遣会社との間で締結されることとなります。従って、たとえ役務の提供に際しての具体的な指揮命令をその派遣先の企業が行うとしても、その派遣社員と直接の雇用関係のない派遣先の企業は、上記のマネキンに対する報酬の場合と異なり、派遣社員に対する報酬について源泉徴収をする必要はなく、派遣元である人材派遣会社が源泉徴収義務者となります。

☆ 消費税
@マネキンへの報酬
  マネキンに対する報酬は、給与として取扱われますので、その支払いは課税仕入れとはなりません。特に、マネキン紹介機関から、課税仕入れとならないマネキン自身の給与と、課税仕入れとなるマネキンの交通費及び当該機関への手数料を一括して請求されている場合には注意が必要です。

A人材派遣会社への報酬
  人材派遣会社に対して支払う金銭は、給与に該当せず、労働者の派遣にかかる対価(労働者派遣料)となることから、仕入税額控除の対象となり、その支払を受ける派遣会社においては課税売上となります。

2002.5.20 ビジネスメールUP! 291号より )

 

 
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