平川税務会計事務所 安藤 誠二
第49回
一括償却資産に係る資本的支出の取扱いについて
☆ 一括償却資産の損金算入制度とは
各事業年度中に取得した減価償却資産で、取得価額が20万円未満であるものを事業の用に供した場合に、その資産の全部又は特定の一部を一括したもの(以下、「一括償却資産」)の取得価額の合計額を事業の用に供した事業年度を含めて3年間で損金経理により損金の額に算入することができる制度です(法令133条の2@)。
☆ 資本的支出の取扱い
原則として、減価償却資産について資本的支出があった場合には、資本的支出の金額はその減価償却資産の取得価額に加算され(法令55条)、耐用年数については現に適用している耐用年数を適用するものとされています(耐通1−1−2)。
一括償却資産について資本的支出があった場合には、その資本的支出が取得時から予定されていたものか否かにより、取扱いが異なります。
☆ 取得時から予定されていた場合
取得時当初から予定されていた資本的支出の場合には、その資本的支出の金額は本来の取得価額となるため、資本的支出の金額と当初の取得価額の合計額が取得価額となり、その金額が20万円以上となった場合にはこの制度の適用が受けられない事になります。
従って損金算入最終年度(3年目)において、このような支出があった場合などは、前々期及び前期においても一括償却資産に該当しないことになり、通常の減価償却計算に修正しなければなりません。
☆ 取得時から予定されていなかった場合
取得時から予定されていなかった資本的支出の場合には、一括償却資産の個々の取得価額に加算する必要はなく、別に減価償却費の計算を行うことに
なります。この場合に適用される耐用年数は、前述の通り、現に適用している耐用年数を用いて償却限度額を計算することとなりますが、法令133条の2において定められている36ヶ月(3年)は損金算入限度額の計算の基礎として用いるものであり、「耐用年数省令」において定められている耐用年数とは異なります。
従って、この場合の資本的支出部分の金額は、一括償却資産とは別に「耐用年数省令」に規定されている耐用年数を用いて通常の減価償却計算を行うことになります。
この取扱いは、所得税の必要経費の計算においても同様です。
(2002.4.8 ビジネスメールUP!
277号より
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