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        平川税務会計事務所  櫻井 健二  
         
          第47回  
          試験研究費の取扱いについて 
           
         ☆ 試験研究費の意義 
           
             税務上の試験研究費とは、新製品の製造又は新技術の発明に係る試験研究のために特別に支出する費用をいいます。 
           
           
          ☆ 試験研究費の償却  
           
            試験研究費は、その支出の効果が将来に発現する費用であることから、いったん繰延資産として処理しておき、その支出の効果の及ぶ期間にわたって償却することになります。 
           
            しかし、法人税法においては、法人税法施行令第14条に規定する繰延資産うち第1項第一号から第七号に規定する繰延資産(試験研究費については第四号)について、その繰延資産の額を限度として法人が任意に償却することとしています。 
           
           
          ☆ 試験研究が成功した場合の特許権等の取得価額  
           
            自己が行った試験研究が成功し、特許権等を取得した場合には、税務上は、その特許権等の取得の時において繰延資産として計上されている試験研究費の額を取得価額に算入することとされており、繰延資産の未償却残高を無形固定資産の取得価額に振替えることになります。 
           
          ☆ 試験研究費が増加した場合等の法人税額の特別控除   
           
          (1) 特別控除額  
            青色申告法人の昭和42年6月1日から15年3月31日までの間に開始する各事業年度の試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費を超える場合には、次の算式により計算した金額のうちいずれか少ない金額を法人税の額から控除することとしています。 
           
          @ 増加試験研究費×15/100 
          A 適用年度の法人税額×12/100(注) 
          (注)特別試験研究費がある場合には、Aの金額は次の金額のいずれか少ない金額となります。 
          A 適用年度の法人税額×12/100+特別試験研究費の額×15/100  
          B 適用年度の法人税額×14/100  
           
          (2) 増加試験研究費  
            適用年度開始の日前5年以内に開始した各事業年度の試験研究費の額のうち、上位3期分平均額(比較試験研究費)を適用年度の試験研究費の額から控除した金額をいいます。 
           
          (3) 基準試験研究費  
            適用年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度の試験研究費の額のうち最も多い額をいいます。 
           
          ☆ 配当制限  
           
            貸借対照表上の純資産価額から、次の金額を控除した金額を限度として利益の配当を行うことができます。 
          (1) 資本金 
          (2) 資本準備金及び利益準備金の合計額 
          (3) その決算期に積み立てることを要する利益準備金の額  
          (4) 貸借対照表の資産の部に計上した試験研究費の額が、(2)の額を超えるときはその超える金額    
         
        
          (2002.3.25 ビジネスメールUP! 
          271号より 
          ) 
            
          
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