平川税務会計事務所 諸岡 正也
第43回
同族会社の留保金課税制度
☆ 同族会社とは
同族会社とは、各事業年度の終了の日において一定の者に発行済株式等の50%以上が保有されている会社をいいます。
少数の株主が会社の株式の大半を保有している同族会社の場合には、これらの少数の株主の意見によって通常であれば配当すべきところを配当せず、配当所得に対する所得税の課税時期を遅延させることができます。そこで、租税負担の公平を期すために同族会社の留保金課税制度が設けられ、留保された所得に対して特別の税率により課税し、配当の早期支払が促されています。
☆ 同族会社の留保金課税制度
同族会社については、各事業年度の所得のうち留保した金額から留保控除額を差し引いた残額を(2)の各金額に区分し、それぞれ次の税率で追加的に課税されます。
(1) 留保控除額
次のうち最も多い金額
所得基準額・・・・所得等の金額×35%
定額基準額・・・・年1,500万円
積立金基準額・・・期末資本金の25%相当額−利益積立金
(2) 税率
年3,000万円以上の部分・・・10%
年1億円以下の部分・・・・・15%
年1億円超の部分・・・・・・20%
☆ 中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用
(1)概要
中小・ベンチャー企業を支援する観点から、@創業10年以内の新事業創出促進法の中小企業、A一定のベンチャー企業(新事業創出促進法の認定事業者)については、同族会社の留保金課税の課税停止の対象となっています。
(2)平成14年度税制改正
適用期間
平成12年4月1日〜平成14年3月31日(平成14年度の改正により平成16年3月31日まで2年延長される予定です。)
課税停止の対象者の拡充
経営革新を志向する中小企業(前年度の試験研究費及び開発費の対売上高比率が3%超の中小企業。商業・サービス業等も対象。)が、新たに課税停止の対象に追加となります。これにより3〜4千社の中小企業やベンチャー企業が対象となります。
中小法人に対する留保金課税の軽減
資本金1億円以下の中小法人の課税留保金額に対する税額について、その5%相当額が軽減されます。
(2002.2.25 ビジネスメールUP!
259号より
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