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        平川税務会計事務所   中島 孝一  
         
          第32回  
          税理士法人の社員が死亡退社した場合の持分払戻請求権の評価 
           税理士法人の社員が死亡した場合には、法定脱退に該当し、その持分は定款に別段の定めがなければ払戻しを受けるものと考えられます。 
           
           
           改正税理士法では、税理士法人は商法の合名会社の規定を準用する部分が多いことから、死亡退社に伴う持分払戻請求権の評価も合名会社と同様であれば、次のように評価することになります。 
         
         持分を承継する場合 
           
           持分の承継が認められれば(退社員の相続人が税理士登録をしている場合に限定されるものと考えられます)、取引相場のない株式の評価方法に準じて(評価差額に対する法人税等相当額控除後)評価します。 
        持分の払戻しを受ける場合 
           
          (1)相続税の申告期限までに払戻金額が確定している場合 
           
           払戻しを受けた金額から、みなし配当に係る源泉所得税相当額を控除した金額により評価します。 
           
           なお、みなし配当部分は退社員の所得税の準確定申告において配当所得として申告する必要があります(神戸地裁 平成4年12月25日判決)。 
         (2)相続税の申告期限までに払戻金額が確定していない場合 
           
           相続税評価額によって計算した純資産価額により評価しますが、評価差額に対する法人税等相当額は控除しないこととされています。 
           
           法人税等相当額を控除しない理由は、「持分払戻とは、営業存続中の会社の無限責任社員の地位の経済的価値分を営業存続中の会社から金銭で分配するものであり、売却処分したことにより課税される法人税等の一部を退社員において負担するいわれはなく…」とする判示(名古屋地裁 昭和62年9月29日判決)によるものと思われます。 
         
        税理士法人が債務超過の場合 
           
           死亡退社した無限責任社員の連帯債務とされ、相続人の負担に属する部分は債務控除の対象になります。 
           
           
        
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          (2001.12.3 ビジネスメールUP! 
          231号より 
          ) 
            
          
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