平川税務会計事務所 岡本 博美
第30回
定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税
定期借地権の設定による保証金
定期借地権の設定に伴って、地主が借地人から権利金のほか保証金等の名目で金銭を無利子で預託を受ける場合があります。保証金等は、賃貸借契約の終期において賃借人に対し返還されることになりますが、地主サイドにおいてはその保証金等の金額を保有しておく必要はなく、そのうち一部を賃貸借期間の間保有運用することにより将来返還すべき額を支払うことができるようになります。
所得税の取扱
定期借地権の設定による保証金の経済的利益については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる取扱となります。
(1) |
業務に係る資金として運用されている場合 |
保証金につき、適正な利率により計算した利息に相当する金額を、その保証金を返還するまでの各年分の不動産所得の金額の計算上、収入金額に算入するとともに、同額を、その各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。
|
(2) |
金融資産に運用されている場合 |
保証金が、預貯金等の金融資産に運用されている場合には保証金の経済的利益について課税しないこととしています。
これは、保証金の経済的利益に見合う預金利子等の運用益は将来において必ず課税の対象となるものであるため、保証金の経済的利益に課税することになれば、二重に課税される感じを受けることを考慮したものです。 |
(3) |
その他の場合 |
保証金が、(1)又は(2)以外の例えば生活のために使用されている場合には、保証金につき適正な利率により計算した利息に相当する金額を、その保証金を返還するまでの各年分の不動産所得の金額の計算上収入金額に算入します。
なお、この場合の適正な利率は、上記(2)の預貯金等の金利水準を考慮し、各年毎の10年長期国債の平均利率によることとし、平成12年分については、長期国債の平均利率が1.71%であったことから、1.7%と国税庁から公表されています。
|
バックナンバー
(2001.11.19 ビジネスメールUP!
226号より
)
|