平川税務会計事務所   櫻井 健二


第26回
出向先法人における出向役員に係る給与負担金の取扱い


出向の意義
 一の企業がその雇用する従業員(役員を含む)を在籍させたまま、人格の異なる他の企業のために労務に服させるものと解されており、雇用保険法施行規則では、「失業することなく、他の事業者に雇い入れられることをいう。」と規定されています。

給与負担金の基本的取扱い
 出向において出向者は出向先法人と出向元法人と二重に雇用関係があるがあります。出向者は出向先法人において労務の提供をすることから出向者に対する給与は出向先法人が負担すべきものであり、その給与を出向元法人を経由して支給する場合、出向先法人において給与負担金、出向料、委託費等の名義で支出していてもその実質は給与であることから出向先法人における給与として取扱われます。

 ただし、出向元法人において使用人である者が、出向先法人において役員である場合には、出向先法人が支払う給与負担金のうち報酬とされる金額は損金算入が認められますが、賞与とされる金額については役員賞与として損金不算入となります。

出向役員に係る給与負担金の報酬と賞与の区分
 出向役員に係る給与負担金の報酬と賞与の区分については、出向先法人が給与負担金として出向元法人に毎月定額を支払っているかどうかにより判断するのではなく、次のように出向元法人のその出向者に対する支給の態様に応じて区分することになります。

(1) その給与負担金の額が出向元法人がその出向者に給与を支給する都度その支給額の範囲内で支出されるものである場合         
  ……出向元法人の支給する給与が定期の給与か臨時の給与かの別によります。
(2) その給与負担金の額が一定期間内に出向元法人がその出向者に支給する給与の合計額を基礎としてその範囲内で毎月又は一括して支出されるものである場合
  ……その給与負担金の額のうち出向元法人がその期間内にその出向者に支給した定期の給与の額に達するまでの金額は報酬とし、これを超える部分の金額は賞与とされます。

給与負担金が出向者に支給する給与の額を超える場合
 上記Aの場合において、出向先法人が給与負担金として支出した金額が出向元法人がその出向者に支給する給与の額を超える場合のその超える部分の金額については、出向先法人にとって給与負担金としての性格はないこととされ、その超える部分の金額は、その超える金額を負担することにつき合理的な理由が無い場合には、出向先法人から出向元法人に対する寄附金として取扱われる場合があります。

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2001.10.22 ビジネスメールUP! 214号より )

 

 
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