平川税務会計事務所 大城 新吾
第23回
長期所有上場株式等を譲渡した場合の「100万円特別控除の特例」
新証券税制の成立
「申告分離課税を選択して取引をする個人が、長期所有上場株式等を平成13年10月1日から平成15年3月31日までの期間内に証券会社を通じて譲渡した場合には、その年分の長期所有上場株式等の譲渡所得について、その譲渡益から最高100万円の特別控除が受けられる。」今年6月、緊急経済対策の一つとして、低迷する株式市場をてこ入れするために、個人投資家の参入を促す新しい証券税制が成立しました。
株式譲渡益課税制度の概要
平成15年3月までは、次の1)申告分離課税方式と2)源泉分離課税方式のいずれかを選択できます。
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申告分離課税方式
譲渡益の26%(所得税20%、住民税6%)を課税 |
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・株式の譲渡があった年の翌年2月16日から3月15日の間に確定申告の必要有り。 |
2) |
源泉分離課税方式
譲渡代金の5.25%を譲渡利益金額とみなし、その20%を源泉徴収(譲渡代金の1.05%を課税) |
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・取引のたびに税負担分を源泉徴収されることにより、納税手続きは終了される。 |
「100万円特別控除の特例」の適用上の注意点
長期所有上場株式等とは?
譲渡の日において所有期間が1年を超える国内の証券取引所に上場している株式と店頭上場株式(マーザーズやナスダック・ジャパンも含む)、また、株価指数に連動する上場型株式投信の受益証券をいいます。転換社債や新株引受権付社債は今回の改正では適用対象外となっておりますので、ご注意ください。なお、2回以上にわたって同一銘柄の株式を取得している場合の所有期間は、先に取得したものから順次譲渡をしたものとして判定します。
特例が受けられる期間は?
この特例が受けられるのは、平成13年10月1日から平成15年3月31日までの期間内に長期所有上場株式等を譲渡した場合に限られています。したがって、平成13年9月30日以前に長期所有上場株式等を譲渡した場合は、この特例の適用は受けられません。ただ、個人投資家の場合は、「譲渡した日」について証券会社に売り注文を出して約定した日か、売却代金を受け取る日か、どちらでも構わないとされていますので、例えば、今年9月26日に売り注文が成立し、10月1日が売却代金の受取日(約定日を含めて4営業日目、休業日を除く)になる取引も適用期間内となります。
特例の適用を受けるには?
この特例の適用を受けるためには、長期所有上場株式等を売却する際に申告分離課税方式を選択し、確定申告をしなければいけません。確定申告の際は、収入金額などを記載した譲渡株式に関する明細書も添付する必要があります。
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株式等の譲渡計算に当たっては、株式等の取得価額等を確認する必要がありますが、これは証券会社から送られてきた「取引報告書」で確認することができます。「取引報告書」をお持ちでない場合には、取引のある証券会社に問い合わせていただければ、その証券会社が保存している「顧客勘定元帳」などにより、確認することができます。 |
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バックナンバー
(2001.10.1 ビジネスメールUP!
206号より
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