平川税務会計事務所 斎藤 毅
第22回
有 姿 除 却
有姿除却とは
有姿除却とは、使用を廃止した固定資産につき解撤、破砕、廃棄等を行っていない場合であっても、既に固定資産としての命数なり使用価値が尽きて
いることが明確なものについては、その現状有姿のまま除却処理をすること をいいます。
対象となる固定資産
法人税法基本通達7-7-2では、有姿除却の対象となる固定資産として下記の 二つを掲げています。
(1)その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がな いと認められる固定資産
(2)特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を 中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
損金の額に算入することができる金額
除却損 = 当該資産の帳簿価額 − 処分見込額
通達により除却損として損金算入することができる金額は、あくまでも除 却対象資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額に限られ、既に
解撤、破砕、廃棄等に着手している場合を除き、その解撤等に要する費用を あらかじめ見積り、これをその処分見込価額から控除して除却損の額を計算
することは原則として認められません。
使用廃止後の転用
使用を廃止した固定資産につき、他に転用する可能性が若干あるとしても、 その転用後の使用方法が当該資産の本来の用途、用法と全く異なるものであ
り、経済性が維持できないような極端な用途変更である場合には、上記(1)の 「通常の方法により事業の用に供する可能性」には当たらないものと解され
ます。
金型等の除却
上記(2)に該当する金型等については、有姿除却が認められていますが、こ こで留意すべき点は、当該金型等により生産される製品の生産が中止されれ
ば、即除却処理が可能となるのではないということです。すなわち一般的に は、生産を中止した後の状況を見た上で将来の使用可能性を見極めると思わ
れますので、通常は、生産中止後ある程度の期間状況を見極めた後はじめて 除却処理ができることに留意する必要があります。
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(2001.9.21 ビジネスメールUP!
203号より
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