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平川税務会計事務所 佐々木京子
第21回
土地再評価法〜再改正を受けて
土地再評価法
平成10年に交付された土地再評価法により、「固定資産についてはその取得価額」という商法上の資産評価の原則にかかわらず、法人の事業用土地について再評価を行い、再評価差額金をもって株式消却をすることが可能とされています。
同法については平成11年3月に既に改正が行われておりましたが、このほど二度目の改正法「土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律」(法律第19号)が平成13年3月31日に公布され、土地の再評価及び株式消却の期限が平成14年3月31日まで延長されました。
対象法人
商法監督特例法人(資本金5億円以上又は負債合計200億円以上の株式会社)信用金庫、労働金庫、信用協同組合、農林中央金庫、農業協同組合等証券取引所に上場している株式会社です。
今回の改正により「証券取引法に基づき公認会計士監査が義務付けられているが商法上の大会社に該当しない会社」が追加されています。
再評価の方法(土地の再評価に関する法律施行令)
「時価」により再評価することとされていますが、具体的には次のいずれかの方法により行うものとされています。
(1)近隣の地価公示価格に合理的な調整をして算定する方法
(2)近隣の都道府県基準地価格に合理的な調整をして算定する方法
(3)固定資産税評価額に合理的な調整をして算定する方法
(4)地価税法の時価(路線価)に合理的な調整をして算定する方法
(5)不動産鑑定士等が行う鑑定評価による方法
会計処理
(1) |
再評価時(土地簿価:300,時価:1,050,※実効税率42%とします) |
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(借方)土地750 |
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(貸方) 繰延税金負債(負債の部)315(※1) |
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再評価差額金(資本の部)435(※2) |
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(※1)(1,050-300)×42%=315 |
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他の繰延税金負債と区分して計上すること。 |
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(※2)750-315=435 |
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資本の部へ直接計上するため、税務調整不要。 |
(2) |
自己株式を償却した場合 |
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(借方) 再評価差額金 290 |
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(貸方)再評価差額金取崩290 |
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自己株式消却額290 |
/ |
(貸方)自己株式290 |
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(※)再評価差額金(消却限度額) 435×2/3=290 |
(3) |
その後土地を譲渡した場合(譲渡価額:1,200) |
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(借方)現金 1,200 |
/ |
(貸方 )土地 1,050 |
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土地売却益 150(※) |
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再評価差額金145 |
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再評価差額金取崩額145 |
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繰延税金負債 315 |
/ |
法人税等調整額 315 |
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(※)なお、法人税法上の土地売却益は900(1,200-300)になります。 |
バックナンバー
(2001.9.17 ビジネスメールUP!
201号より
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