平川税務会計事務所 安藤 誠二
第15回
減損会計について
減損会計とは
減損会計とは、企業の保有資産の価値が減少し、その資産の評価額が簿価を下回った場合に、その価値の減少を簿価を減額することで反映させる会計処理をいいます。資産の価値が簿価を上回っていても、金融商品の時価評価のような簿価の切上げ処理は、減損会計では行われません。
対象資産
減損会計の対象となる資産は、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産(金融資産、繰延税金資産は除かれます)です。
減損処理の方法
対象資産の減損の兆候を認識したら、減損の大きさを測定し、該当資産の評価額をその水準まで減額することになります。ここでの評価基準には、国際会計基準と米国基準の2種類があります。
(1)国際会計基準
国際会計基準では「回収可能価額」を用います。この「回収可能価額」は、下記の二つのうちいずれか高い金額とされています。
(イ)「正味売却価額」
資産の売却によって得られる金額から、処分費用を控除したものです。 当該資産にすでに売買契約が存在する場合には、その契約金額から処分 費用を控除した金額、売買契約がない場合には、通常の取引により決定
される市場価格から処分費用を控除した金額になります。
(ロ)「使用価値額」
資産の継続使用及び最終の処分から得られる純キャッシュフローから現在価値を計算したものです。支払利息等の費用は、純キャッシュフローの計算上考慮しないこととされています。
上記二つの金額を用いるのは、当該資産の売却による収入と継続使用に よる価値との比較により、有利な方針を経営者が選択するのが当然と推測されるからです。
(2)米国基準
米国基準では「公正価値」を用います。この「公正価値」とは、強制売却などの動機によらない、自発的な当事者間の取引によって成立する金額をい
います。当該資産について、取引市場がある場合には公表市場価格、取引 市場がない場合には類似資産の価格など、最善の情報に基づいて見積もることとされています。
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(2001.7.30 ビジネスメールUP!
183号より
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