平川税務会計事務所   大城新吾

第11回
債権放棄と寄附金

寄附金とは
 寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝費、交際費、福利厚生費とされるべきものを除きます。)をした場合におけるその金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又はその経済的な利益のその供与の時における価額をいいます。

  また、内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額がその資産のその譲渡のときにおける価額又はその経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、その対価の額とその価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額も、寄附金の額に含まれます。

子会社等の再建支援のために行う損失負担等
 バブル経済の崩壊以降、法人が経営危機に陥った子会社や取引先企業の倒産等を防止するため又は整理するために、損失負担、債権放棄及び無利息貸付等を行う再建支援が増加しています。

  この場合、法人税法上の取り扱いはどうなるのでしょうか。上記の寄付金の意義からすると、このような支援は寄附金に該当し、法人税法上寄附金の損金算入限度額の計算対象となってきます。

  しかしながら、その債権放棄等が、今後より大きな損失の生ずることを回避するためにやむを得ず行われたものでり、かつ、社会通念上も妥当なものである場合には、法人税法上救済措置を設けてあります。

法人税法基本通達9−4―1
 法人が子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴いその子会社等のために債務の引受けその他の損失の負担をし、又はその子会社等に対する債権の放棄をした場合においても、その負担又は放棄をしなければ今後より大きな損失を被ることになることが社会通念上明らかであると認められるため、やむを得ずその負担又は放棄をするに至った等、そのことについて相当な理由があると認められるときは、その負担又は放棄をしたことによる損失の額は、寄附金の額に該当しないものとなります。

  なお、上記の再建支援等に係る損失の負担等の税務上の取り扱いについては、各国税局の法人税課又は調査管理課若しくは調査課に相談窓口を設けてあるそうなので、事前にご相談して下さい。

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2001.7.2 ビジネスメールUP! 172号より )

 

 
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