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        平川税務会計事務所   戸島優子  
        第7回 
          企業組織再編税制と適格組織再編成  
        企業組織再編税制とは 
           租税回避防止措置を講じつつ、一定の要件を満たす会社分割、合併、現物出資または事後設立(以下「組織再編成」という)に係る移転資産の譲渡損益の繰延べを認める等の優遇措置を設けることにより、企業が経営環境の変化に対応し、柔軟な組織再編成を行うことを可能にするため整備された税制で、13年改正の目玉となっています。 
           
           企業組織再編税制の3つの側面 
          (1)再編当事法人にかかる法人税の取扱 
          (2)再編当事法人の株主にかかる所得税の取扱 
          (3)再編当事法人にかかるその他の税の取扱 
           
           今回はこの3側面の中で最も重要で中心課題となる法人税の取扱のうち、譲渡損益の繰延べ等優遇措置の用件となる「適格組織再編成」について取上げます。 
           
           
          適格組織再編成とは  
           適格組織再編成には以下の二つの形態があります。 
           
          (1)企業グループ内の組織再編成 
            これは、商法上の親子会社関係(持分割合が50%超の関係)にある法人間の組織再編成で、以下の要件を満たす場合には譲渡損益の繰延べが認められます。 
           
          1)独立した事業単位の移転であること(独立事業単位要件)  
           イ 移転事業に係る主要な資産及び負債の移転が行われている 
           ロ 移転事業に係る従業員の概ね80%以上の移転が行われている  
          2)組織再編成後も移転した事業の継続が見込まれていること(事業継続要件) 
           
          * 組織再編成の当事法人が100%の持分関係である場合はこれらの要件は不要と されています。  
        (2)共同事業を行うための組織再編成  
           この組織再編成は、わが国の企業グループを超えた組織再編成の実態をふまえたものです。この組織再編成に該当するためには以下の用件を満たす必要があります。 
           
          1) 事業が相互に関連性を有する(関連性用件) 
          2)売上金額、従業員数若しくはこれらに準ずるものの比率が概ね1対5を超えない(規模用件) 
          3) 双方の役員(常務クラス以上)が組織再編成後に経営に参画すること  
           
           移転資産の譲渡損益の繰延べについては、企業グループ内組織再編成の1)独立事業要件と2)事業継続要件に加え、資産の移転の対価として取得した株式を継続保有する見込みがあるという要件(継続保有要件)が加えられます。この継続保有用件は当初交付を受けた株式を継続して保有することが要求されているのであって、共同事業拡張のための増資を否定するものではありません。 
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         (2001.6.4 ビジネスメールUP! 
          160号より 
          ) 
            
          
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