オピニオン・ショッピング

 企業の破綻により、最近では、監査に対する人々の信頼が揺らいでいるといわれているが、監査の世界では、"オピニオン・ショッピング"という言葉がある。このオピニオン・ショッピングとは、まさに意見の買取りのこと。公開会社では、会計監査人の監査が義務付けられているが、不適正意見等を付されてしまえば上場廃止という最悪の事態にもなりかねない。このため、企業側の都合のよい意見を出してもらうために会計監査人を交替することをオピニオン・ショッピングというわけだ。

 例えば、わが国におけるオピニオン・ショッピングの事例をご紹介しよう。平成12年11月28日に中堅ゼネコンであるS社が「意見差控」を付された監査報告書を提出している事例がある。同社は7月期決算会社であり、本来であれば10月末までに有価証券報告書を財務局に提出しなければならなかったわけだが、実際には約1ヵ月遅れの提出となっている。同社は、平成12年10月27日付けで監査法人から「意見差控」の監査報告書を受領していたが、適正な会計処理であることを立証しようと新たな監査法人に監査を依頼したもの。

 しかし、その後、監査の二重という観点から新たな監査法人との監査を中止し、監査契約は解除されたが、仮に新たに契約した監査法人から適正意見をもらうことになれば、投資家等にとっては多大な損害を被り、会計士にとっては監査の信頼が失われという事態になっていたといえるかもしれない。

2001.11.26 ビジネスメールUP! 228号より )

 

 
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