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期間契約満了時に支給の慰労金、退職所得に該当と判断
最高裁判示の3要件をいずれも満たす

 名古屋国税不服審判所は、期間契約社員の期間契約満了時に支給された慰労金の所得区分が争われた事案で、当該慰労金は退職所得に該当すると判断した。審判所は、当該慰労金について、最高裁が判示した退職所得に係る3要件をいずれも満たすものと認定している(名裁(所)平22第54号・平成23年5月31日裁決)。

給与所得で源泉徴収→還付申告→更正処分
 審査請求人は、X社との間で、平成18年3月から5月までとする期間契約社員雇用契約を締結し、その後、おおむね2か月ごとに当該契約を更新したが、契約期間を平成21年2月から同年3月までとする契約を最後に終了。請求人には、X社から21年3月度給与として慰労金が支給(給与所得として源泉徴収)されたが、請求人は、当該慰労金が退職所得に該当するとして還付申告を行い、課税当局は、給与所得に該当するとして更正処分をした。
 上記の雇用契約書およびX社の期間契約社員就業規則は、契約期間を満了した者のうち、勤務成績が良好な者には慰労金を支給することがある旨を定めている。また、X社が請求人を含む期間契約社員に交付した期間契約社員マニュアルは、契約期間を満了して退職する場合、その時点での欠勤・休暇日出勤を含まない勤務日数に応じ、慰労金が支給される旨を定めている。
 当該慰労金の所得区分について、課税庁側は、おおむね次の理由から、給与所得に該当すると主張した。@X社の期間契約社員就業規則によると、X社は期間契約社員に対する退職金を支給しないこととされている。A労働基準法24条2項および同法施行規則8条には、1か月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当は、臨時に支払われる賃金、賞与に準じ、その支払いは賃金の支払いである旨規定されているところ、本件慰労金は、契約期間の継続に対して支給される勤続手当である。

勤務関係終了・継続勤務の対価・一時金
 課税庁側の主張に対し、審判所は、本件慰労金の退職所得該当性を最高裁第二小法廷判決昭和58年9月9日(昭和53年(行ツ)第72号)が示した3要件から判断した。すなわち@本件慰労金は、請求人が通算契約期間(平成18年3月〜21年5月の期間)を満了して退職するという事実によって支給され、A請求人が通算契約期間における出金すべき日数の90%以上出勤し、勤務成績が良好な者に該当するとして、通算契約期間における勤務日数に応じて支給され、B平成21年3月度の給与として一時に支給されていることから、退職所得に係る3つの要件をいずれも満たすものと認定。本件慰労金は、退職所得に該当するとしている。

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週刊「T&A master」419号(2011.9.19「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.11.11 ビジネスメールUP! 1611号より )

 

 
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