未公開 裁決事例紹介
墓所の管理料が資産の譲渡等の対価に該当
喜捨金と同様の性質との主張は認められず
○宗教法人である審査請求人(以下「請求人」という)が墓所の使用者から墓所の使用料のほかに管理料の名目で収受する金員について、審判所が資産の譲渡等の対価に該当するとした事例(札裁(諸)平20第17号)
基礎事実等
請求人は、霊園を管理運営し、墓所の貸付けおよび管理業務(以下「本件霊園事業」という)を行っている。霊園の使用規程(以下「本件使用規程」という)には、本件霊園の墓所を使用する場合の手続等について、要旨次のとおり定められている。
(イ)本件霊園は、墓所の使用者に墓所を永代使用させることを主たる事業とし、必要に応じ墓所に付随する諸施設を設置して使用者の便益に供するものとする。墓所の使用者は、別に定める使用料(以下「永代使用料」という)を支払い、墓所用地の永代使用および付随施設(境内地にある駐車場、休憩所、トイレ、水道など墓所使用者が墓参の際に通常使用する施設)を随時使用する権利を取得する。
(ロ)墓所の使用を希望する者は、申込みをして請求人の承諾後、所定の時期までに永代使用料を全額納付した後に永代使用権を取得する(以下、この永代使用権を取得した者を「永代使用者」という)。永代使用者に対しては、永代使用権取得後、その権利を証する証券を発行する。
(ハ)永代使用者は、本件霊園の維持管理(境内地および境内地内の施設の維持管理をいい、具体的には境内地内の清掃、境内地内に設置しているごみ箱内のごみの処分やトイレの汲取り、お供え等の回収、冬の除雪、植栽の冬囲い、境界地のネット、フェンスおよび植栽の設置等、管理事務所や休憩所等の施設の維持管理)に要する費用として、別に定める管理料を○○までに、向後○間ずつ納入しなければならない。ただし、永代使用権を取得する時点では、向後○間に契約年の残りの月数分を加えた管理料を前納しなければならない。
なお、管理料は経済情勢の変化に伴い増額されることがある。
(ニ)既納の永代使用料または管理料は理由の如何にかかわらず返還しない。
争点および主張
主な争点は、本件管理料は消費税法4条《課税の対象》1項にいう資産の譲渡等の対価に該当するか否か。
この争点における原処分庁および請求人の主張は、次頁表のとおりである。
審判所の判断
(1)資産の譲渡等の対価の該当性の有無について
本件管理料は、請求人が、永代使用者から、境内地および境内地内の施設の維持管理に要する費用として収受するものであり、個別の墓所の管理は当該維持管理の対象外ではあるが、境内地内の清掃、境内地内に設置しているごみ箱内のごみの処分、お供え等の回収、冬の除雪、植栽の冬囲い、境界地のネット、フェンスおよび植栽の設置等のほか、管理事務所、休憩所、トイレ、駐車場、水道等の永代使用者が墓参の際に通常使用する施設の維持管理をするために収受するものであることからすれば、本件管理料は、永代使用者が使用している墓所の環境の維持および永代使用者およびその親族が墓参など本件霊園を使用するための便益の提供の対価、すなわち役務の提供の対価であると認められ、消費税法2条1項8号に規定する資産の譲渡等の対価に該当するというべきであり、同法4条1項の規定により国内において事業者が行った資産の譲渡等に該当することから、消費税の課税対象となり、さらに、同法6条1項の規定により非課税とされるものに該当しないことから消費税が課されることになる。
(2)永代管理料を課税標準に算入すべき課税期間について
既納の永代管理料は、一切返還されないものであるから、その収受した時に収入すべき権利が確定するものと認められ、法人税法上はその全額が収受した事業年度の益金に算入されると考えられることから、消費税等においても、その収受した課税期間においてその全額を課税標準に算入するのが相当である。
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(週刊「T&A master」328号(2009.11.2「未公開 裁決事例紹介」より転載)
(分類:税務 2010.1.22 ビジネスメールUP!
1357号より
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