株主総会での決議日が大切なんだ

「中小会社も会社法に則した対応が求められているんだね。」金吉

石部金吉税理士は5月中に提出した平成19年3月期法人税確定申告書を見直しています。

「お父さん、ファイルしたばかりの5月提出法人の確定申告書を全部見直しているなんて何かあったの？」
石部みどりさんがお父さんに話しかけています。

「5月提出法人の『決算確定の日』を確認（見直）しているのさ。」

石部金吉税理士は今まであまり気にしなかった『決算確定の日』を確認していました。

娘「お父さんの関与先で株主総会を開催している会社はあるの？『決算確定の日』を確認しても仕方がないんじゃないの？」

父「う〜ん、そういう問題もあるけど、株式会社である以上、定時株主総会を開かなければいけないんだよ。それに、事前確定届出給与の届出期限は、原則として株主総会等における役員の職務につき決議をした日から1月を経過する日と決められたから、株主総会等の日を確認しておかないと、届出期限が守れなくなってしまうのさ。」

娘「それって、19年度税制改正の改正点よね。去年給与制度の見直しが行われたときには、『職務の執行を開始する日』と『会計期間開始の日から3月を経過する日』とのいずれか早い日が届出期限と規定されていて、『職務の執行を開始する日』が株主総会の日と解されるとして、税理士の評判が悪かった規定よね。」

父「届出期限まで1月間の猶予が与えられたことは税理士にとっては助かるんだけど、みどりが心配するように中小会社には、株主総会の日がはっきりしない場合があるから、法人税確定申告書上の『決算確定の日』で税務署は判断することになると思うんだ。」

娘「この確定申告書の『決算確定の日』は、5月28日と記載されているわ。」

父「すると、事前確定届出給与の届出期限は6月28日ということになるね。」

娘「税務署は調査で実際に株主総会が開催されたかどうかを確認することはないのかしら？　決議した日があいまいになってしまったら、税務署から指摘されてから株主総会の決議日を変更してくるような場合も考えられると思うわ。」

父「そうだね。今までは『決算確定の日』にあまり意義はなかったと思うけど、期限の始期となると、株主総会での決議があったことを立証しなければならなくなってくるかもしれないね。」

娘「中小会社も株主総会を開催することが先決だと思うけどね。」

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（週刊「T＆A master」216号(2007.6.25「石部家の人びと―父と娘の税理士問答」より転載）

（分類：その他　2007.8.6　ビジネスメールUP! 1019号より )