アルゼ(会社・会長)、実体法でも税務訴訟で圧勝
再売買予約付譲渡契約に基づいたもので低額譲渡に該当せず
東京地裁民事38部(杉原則彦裁判長)は2月23日、株式の譲渡が低額譲渡に該当するかが主たる争点となった@第二次納税義務納付告知処分取消事件、A所得税の更正等取消請求事件、B法人税更正処分等取消請求事件、C法人税決定処分等取消請求事件に対し、「当該譲渡は再売買予約付き譲渡契約に基づいて行われたものであり、低額譲渡には当たらない」と判示し、低額譲渡に該当するとして行われた上記処分について、ほぼすべてを取り消す判決を言い渡した。
事案の概要
本件(4つの事件)は、コンピューター式パチスロ機の開発、製造および販売等を行うアルゼの会長がオーストラリア法人のA社から日本法人のB社株式を譲り受けたところ、B社株式の譲渡価額は時価に比し低額であるとして、@A社の滞納国税(Cで決定したもの)に係るXに対する第二次納税義務の告知処分、AXに対する低額譲受の経済的利益が一時所得に該当するとした所得税の更正処分等、BXらからアルゼが譲り受けたB社株式の譲受価額も低額であるとして、アルゼに対する法人税等更正処分等、C低額譲渡であると認定したA社への法人税決定処分等、が行われたことから、原告(アルゼ・会長)がこれらの処分の取消しを求めた事案である。
原告「本件譲渡は株式預託行為の一部」
本件譲渡が国税徴収法39条に規定する「著しく低い額の対価による譲渡」に該当すると主張する課税庁に対し、原告(アルゼ・会長)は、「本件譲渡は株式の売買という法形式が採られているものの、その実質が、アルゼの株式公開の円滑な実現を目的とした関係会社株式の一時避難的な預託行為の一部であることは明らかであり、本件譲渡は、再売買予約付き譲渡契約に基づいて行われた買戻し(売戻し)義務の履行であり『著しく低い額の対価による譲渡』に当たらないことは明らかである。」と主張した。
不服申立適格を争点に最高裁で勝訴判決
本件は、法人税・所得税などの実体法上の課税処分についても争われているが、本件に先立って、会長(第二次納税義務者)がA社に対する法人税決定処分について、不服申立適格を有するかを争点として争われており、平成18年1月19日の最高裁判決で、会長の請求が認容されて確定していた。
東京地裁の杉原裁判長は、本件譲渡の事実認定を積み上げ、「本件譲渡は再予約付き譲渡契約に基づいて行われたものである。」と判示し、「低額譲渡には該当しない」と認め、争われていた課税処分等の取消しについて、原告の請求をほぼ全面的に認容する判決を言い渡した。
※
記事の無断転用や無断使用はお断りいたします
⇒著作権等について
T&Amaster 読者限定サイト
検索結果(注:閲覧には読者IDとパスワードが必要になります)⇒ID・パスの取得方法
キーワード 「低額譲渡」⇒39件
(週刊「T&A master」202号(2007.3.12「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2007.4.13 ビジネスメールUP!
974号より
)
|